新クトゥルフ神話TRPG 現代日本シナリオ
眠り猫おこすべからず

◎1. はじめに


 このシナリオは"新クトゥルフ神話TRPG ルールブック"(以降、ルールブック)に対応したシナリオで、探索者2〜4人向けにデザインされている。"新クトゥルフ神話TRPG クトゥルフ2020"(以降、クトゥルフ2020)があればより楽しめるだろう。
 プレイ時間は探索者の作成時間を含まずに2時間程度だ。比較的、短い時間でプレイできる内容となっている。
 舞台は現代の日本。季節は紅葉の美しい秋頃。あまり人気のない展望台で事件は展開する。

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コラム:大人の探索者と年少探索者

 このシナリオはルールブックに掲載された方法で作成された大人の探索者でプレイすることも、"クトゥルフ2020"に掲載されている選択ルール「年少探索者の創造とプレイ」で作成した、年少探索者でプレイすることも可能だ。
 どちらを推奨するわけでもない。キーパーの好みで自由に選んで良い。ただし、このシナリオでは、大人の探索者と年少探索者を混在させることは推奨しない。
 また、ゲームの舞台となる展望台に、年少探索者が頼れる大人はおらず、自力で生き延びねばならない。もしも、年少探索者の能力値や技能値に不安があるなら、キーパーはルールブック95ページの選択ルール「幸運を消費する」の採用を前向きに検討してもらいたい。少年少女たちが知恵と勇気と、一握りの幸運を駆使して、怪物の恐怖から生き延びようと奮戦するのは、このシナリオの狙ったトーンでもある。
 そして、たとえ年少探索者であっても、最低1人は携帯電話を所持していることを前提としている。もちろん、全員が所持していても問題ない。
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◎2. キーパー向け情報


 ゲームの舞台となる展望台のある「いねむり山」は、私たちが普通に認識している「覚醒の世界」と、夢の世界「ドリームランド」の境界が曖昧な場所であった。世界にはまれにこのような場所があるのだ。
 ドリームランドには、とても賢く、美しい、気高き猫たちが暮らしている。
 数百年前のことだが、そんな猫の一匹がいねむり山に暮らす木こりのやさしい心を気に入った。そこで木こりを守るため、危険なドリームランドといねむり山がつながらないように見張ってきた。覚醒の世界で猫は石像の姿に変身しており、木こりがいなくなった現在でも「眠り猫」と呼ばれ、山の守り神としてひっそりと祭られている。
 ところが、うかつな観光客が猫の石像を動かしてしまい、数百年ぶりに二つの世界がつながってしまう。
 深い霧と共に、ドリームランドに生息するおそるべき巨大クモ「レンのクモ」が展望台にやってくる。その目的は、人間狩りである。
 やってきたレンのクモは二匹だ。ただ、幸いにもこの二匹のレンのクモは縄張り争いをしており仲が悪い。探索者は怪物たちが争っている隙に展望台を脱出し、もう一度、気高き猫に二つの世界を切り離してもらわねばらない。


◎3. 主なNPC


●七味とんと(しちみ・とんと)
 本名は七海桐子(ななうみ・とうこ)。展望台のカフェのバイト店員。七味とんとは、SNS上のハンドルネームだ。
 しっかりした性格で順応力は高い。レンのクモに襲われたが奇跡的に助かり、探索者と行動を共にする。
 必要ならば、彼女の細かな設定はキーパーが自由に決定して良い。
 大人の探索者にとって庇護すべき対象。
 年少探索者にとっては、ここで何が起きているのか教えてくれる年上のお姉さんといった存在になるだろう。

七味とんと 17歳/カフェのバイト店員
STR 40    CON 60    SIZ 40    DEX 60    INT 75
APP 60    POW 65    EDU 45   正気度 61   耐久力 10
db:−1 ビルド:−1 移動:8  MP:9
近接戦闘(格闘) 25%(12/5)、ダメージ 1D3+db
回避 30%(15/6)
技能:聞き耳 35%、目星 40%

●鎌倉佐羽(かまくら・さは)
 ハイキングが趣味の女性。フリーター。22歳。
 SNSが大好きで、なにかするたびに発信している。
 いねむり山にはハイキングにやってきた。展望台までリフトで登り、登山道で下山する計画だった。
 その下山の途中に眠り猫の石像を見つける。石像のあまりのかわいさに思わず抱き上げてしまうが、それが事件の発端となった。

●眠り猫
 ドリームランドからやってきた気高き猫の一匹。過去には、シロと呼ばれていたこともあった。真っ白の毛並みに、黄金の目を持つ、気品のある猫である。話そうと思えば、人間の言葉も話せる。
 数百年前に出会った木こりの優しさに感銘を受けて、それ以来、石像の姿となっていねむり山を見守ってきた。ただし、守るに値しない人間は、冷たく見捨てる残酷さも持っている。
 現在、鎌倉佐羽にぶしつけに抱かれたことで眠りを妨げられ、機嫌を損ねている。そのせいで、再び、覚醒の世界とドリームランドがつながってしまったのだ。

●レンのクモ
 展望台にやってきているのはレンのクモという怪物で、クモの神アトラック=ナチャの子供だといわれている。主にドリームランドに生息している。
 その姿は軽自動車ほどもある巨大クモだ。特に本シナリオに登場するレンのクモたちは、アトラック=ナチャには及ばぬものの、母親譲りの強靱で俊敏な肉体と高い知性を持ち、人間などは狩りの獲物としか思っていない。
 キーパーは、レンのクモと戦うのは無謀であると強調して演出すること。強靱なクモの糸や、手足を簡単に食いちぎりそうな凶悪な牙を説明すれば、探索者も不用意に近づこうとは思わないだろう。それでも好戦的な探索者がいるなら、キーパーは「探索者の視点で考えれば、とても勝てる相手ではないと確信できる」と、プレイヤーに伝えてしまって良いだろう。
 このシナリオの目的は、戦闘で怪物に勝利することではなく、怪物を出し抜いて生き延びることである。よって、本シナリオではレンのクモの能力値などのデータは省略する。
 展望台には、性質の異なる二匹のレンのクモがいる。
 一匹はリフト乗り場付近に巣をはっている。以降、このレンのクモは「わなクモ」と呼ぶ。わなクモは細い糸で巣をはりめぐらし、獲物を待ち受けることを好む性質がある。あまり行動的ではなく巣に近寄らなければ危険度は低い。
 もう一匹はカフェの裏手にある登山道を徘徊している。以降、このレンのクモは「狩りクモ」と呼ぶ。巣をもたずに、獲物に飛びかかって捕らえることを好む性質がある。探索者にとっては、とても危険な存在である。


◎4. シナリオの導入


 ゲームは探索者が「いねむり山」のリフトに乗っているところから始まる。あまり有名ではないが、山頂の展望台は、紅葉が一望できる穴場スポットである。子供だけでも来られるような、こじんまりとした観光地だ。
 展望台へはふもとからリフトで登ることができる。リフトはロープウェイのような立派なものではなく、一人乗りのスキー場のリフトのような小規模のものだ。
 探索者が展望台に向かう理由についてはプレイヤーに任せされるが、特別なことがない限りは観光に来たとするのが無難だろう。時間は昼下がり。今日はよく晴れており、しかも紅葉の季節。展望台からの景色は格別のはずだ。
 探索者は友人同士でも良いし、現地でたまたま一緒になったとしても良い。
 リフトには探索者以外の客はおらず、反対側から降りてくる座席もすべて空席だ。まったく流行っていない展望台だとわかる。
 頂上までは5分ほどかかるが、途中、SNS経由で探索者の1人にメッセージが届く。プレイヤー資料「心配するメッセージ」を渡すこと。差出人は探索者のバックストーリー「大切な人」を参考にして、キーパーが選ぶと良いだろう。年少探索者ならば、親からのメールとしても良い。

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プレイヤー資料「心配するメール」

 いねむり山を調べてみたら、いま霧がひどいらしいよ。
 遊びにいっていると聞いたけど大丈夫?
 念のため、いねむり山で検索してみたら?
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 リフトに乗っている間に、スマートフォンなどでいねむり山の情報を検索できる。重要な情報が得られるため、「リフトに乗っている間はなにもすることもなく暇だ」と伝えて、検索するよう誘導すること。なお、展望台でも携帯電話は圏外になることはないまで、いつでも検索できる。
 もし、「いねむり山」を検索すればロールは不要で、同じ人間の連続した書き込みが見つかる。

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プレイヤー資料「SNSの書き込み」

発信者:鎌倉佐羽 発信時間:30分前
いねむり山ついた! すごい景色! 最高! #いねむり山

発信者:鎌倉佐羽 発信時間:20分前
縁結びの鐘はすごい音! 山のどこにいても聞こえるんじゃないかな? #いねむり山

発信者:鎌倉佐羽 発信時間:10分前
眠り猫みつけた! 思ってたより小さい! だっこしちゃった! #いねむり山

発信者:鎌倉佐羽 発信時間:5分前
すごい霧! なんかすごい眠い! #いねむり山
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 やがてリフトが山頂に近づくと、あれほど快晴だったのにだんだんと霧が出てくる。また、リフトの動きが不安定になり、止まったり、動いたりする。あきらかに異常な動作だ。
 そんな中、もうすぐ山頂というところで、ずっと無人だった反対側の降りる方の座席のひとつが妙なことになっているのに気づく。座席全体が薄いメッシュのようなものに包まれて、まるで繭のようになっているのだ。よく見ると、その繭の中には二人の男女が入っている。ひとつのリフトに無理矢理二人で乗り込んで、座席の男性に女性がしがみついているような状態のままメッシュに包まれ、絶命しているのだ。この異常な死体とすれ違った探索者は1/1D4正気度ポイントを失う。
 この二人は、わなクモに捕らわれた犠牲者である。このとき〈目星〉に成功すると、その男女がふもとのリフトの乗り場でも見たリフトの係員と、売店の店員の制服を着ていることに気づける。また、二人の顔面が黒に近い紫に変色していることもわかる。二人の顔色を見た探索者が〈医学〉か〈科学(薬学)〉に成功すると、それは毒の影響だろうと推測できるが、あのように全身が変色するような強力な毒はなかなか思い当たらない。
 通り過ぎていく反対側の座席にできることはなにもない。死体はそのまますれ違っていく。
 この二人はわなクモから逃げるために、ひとつの座席を争っていたところを糸で捕らわれ、毒を注入されたのである。リフトの動きが不安定だったのは、展望台のリフト乗り場で二人がわなクモに襲われていたせいである。

 不安定だったリフトは、あと少しで降りられるというところで止まってしまう。霧は深くなり、リフト乗り場の様子はよく見えない。いるはずの係員に呼びかけても返事はない。
 そのとき、リフトのケーブルが大きく揺れる。探索者の頭上を飛び越え、リフトの上り下り両方のケーブルの間に黒っぽいアドバルーンのようなものが見える。そのアドバルーンのようなものが動くたびに、ケーブルが大きく揺れる。それは先ほどすれ違った男女の死体のほうに向かっていく。
 アドバルーンの正体はわなクモの大きな腹部である。捕らえた獲物がリフトによって運ばれたので、しかたなく追いかけているのだ。幸いなことに霧が深く、その正体はよく見えない。よって、このわなクモを目撃しても探索者は0/1正気度ポイントを失うだけで済む。また、このとき失った正気度は、レンのクモを目撃した正気度として「恐ろしさに慣れる」(ルールブック165ページ)に適用できる。
 やがて、背後からは「ガリッ、ボリッ」という、なにが起きているのか想像もしたくない音が聞こえてくる(わなクモが食事を始めたのだ)。ケーブルは揺れ続け、いまにも座席から振り落とされそうだ。
 幸いもうすぐリフト乗り場だったため、座席から地面までの距離はさほどではない。〈跳躍〉に成功すれば、無傷で着地できる。失敗した場合、探索者は1D4ポイント(年少探索者の場合、1D4−1ポイント)のダメージを受ける。
 先に降りた探索者は、これから飛び降りる者をキャッチすることも可能だ。その場合、飛び降りた探索者が〈跳躍〉に失敗しても、キャッチした探索者がSTRロールに成功すれば、ダメージは受けない。ただし、STRロールに失敗した場合、両者が1D4ポイント(年少探索者の場合、1D4−1ポイント)のダメージを受けてしまう。
 探索者には、リフトを降りてもらわねば話が始まらない。キーパーはそれがさほど危険な行為ではないことを事前に説明すること。
 探索者がリフトから着地すれば、売店に続く階段がある。背後では「ガリッ、ボリッ」という不気味な音が続いており、周囲は急な斜面と森だ。逃げるのなら、売店のほうしかないだろう。
 無理に斜面を下ろうとすれば、わなクモと遭遇してしまう。わなクモは、獲物を山の上(自分の縄張り)へと追い立てると、リフトにある食べかけの食事に戻る。新しい獲物(探索者)は、その食事が終わってからゆっくり捕らえようという考えなのだ。
 わなクモが行く手をふさいでいるのに、無謀にも下山しようとする探索者は、捕らえられて食事にされてしまう。キーパーはそんなことになる前に、わなクモの脅威を演出して、山の上のほうなら逃げられそうだと示唆してあげよう。

 なお、リフト乗り場はあちこちが薄いメッシュのようなもので広く覆われている。これはわなクモの巣であり、獲物を捕るわなでもある。もし、探索者が不用意に巣に触れれば、糸が手に絡んでくる。ただし、警戒していれば、すぐに手を引っ込めて、逃れることは可能だ。
 無警戒に触れて、DEXロールに失敗すると、手に糸が絡みついてしまう。糸は強靱なうえ、粘ついており、力づくではとても逃れられない。糸を火などで焼ききるしかない。〈自然〉や〈知識〉に成功すれば、クモの糸は火に弱そうだと思いつくことにしてもよい。
 わなに捕まっても、わかクモがやってくるまではしばらく猶予がある。とは言え、探索者の肝を冷やすには十分な効果があるだろう。

 なお、リフトのケーブルを回転させる滑車にもたくさんの糸が絡みついている。このせいでリフトが動かなくなったのだ。修理にはかなりの時間が必要だ。しかも、わなクモが近くにいる状況でそんな作業するのは、命を捨てるような行為である。
 シナリオの序盤、わなクモはリフトで獲物を食べているため、ここにはいない。

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コラム:プッシュ・ロールの失敗

 このシナリオではプッシュ・ロールに失敗したときの処理で迷ったら、探索者が作業中にうっかり大きな音を立ててしまったとすれば良いだろう。
 物音を立てれば、レンのクモがやってくる可能性がある。すぐに静かにすれば問題ないが、霧の向こうにレンのクモの巨体がゆっくり通り過ぎていく描写をすれば、探索者は肝を冷やすはずだ。状況によっては、レンのクモの気配を感じた探索者は0/1D3正気度ポイントを失うとしても良い。
 ただし、ここでのレンのクモの役目は恐怖をあおることである。プッシュ・ロールに失敗したからといって、いきなり探索者を食い殺したりしないように。
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◎5.展望台の施設


 展望台は不気味なほど静かだ。現在、展望台にいる生存者は、前述した鎌倉砂羽と七味とんとの二人だけである。
 展望台の周囲は急斜面と森であり、深い霧の中、登山道以外のルートで下山するのは無謀だ。
 登山道を下りようとしない限りは、展望台の施設は自由に移動できる。ただし、探索者の緊張感が薄らいでいるようなら、キーパーの判断で霧の中で獲物を探している狩りクモや、リフト乗り場の巣に戻ってきたわなクモの気配を演出すること。ただし、あくまで探索者を怖がらせるだけにとどめ、攻撃をさせるといったことはひかえること。
 展望台に到着してからSNSを検索すると、いつでも以下のような書き込みを発見できる。プレイヤー資料「SNSの救助要請」を渡す。
 発信者である七味とんとのSNSの書き込みをざっと読めば、この人物が展望台のカフェの従業員だとわかる。

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プレイヤー資料:SNSの救助要請

発信者:七味とんと 発信時間:1分前
誰か助けて! カフェの倉庫にいます! #いねむり山
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○売店
 リフトから降りた探索者は、売店を通り抜けねば展望台に行けない。
 ここはリフトのチケットや土産物を販売する小さな施設だが、今は無人だ。店内にはいねむり山の案内図が大きく掲示されている。プレイヤー資料「いねむり山 案内図」を渡すこと。
 店内の様子はひどい有様だ。売店の入口からリフト乗り場に向かって、まっすぐに戸棚がなぎ倒され、商品が散乱している。まるで暴走トラックでも突っ込んだかのようだ。これはわなクモの仕業である。
 店内は不気味なまでに静かである。INTロールに成功すると、下のリフト乗り場の売店では流れていた店内BGMが流れていないことに気づける。
 スピーカーを探してみれば、ロール不要で見つかる。元々は壁に設置されていたスピーカーは無理に引きはがされ、しかも大量のメッシュ(クモの糸)に包まれて繭のようになっている。しかも、スピーカーには大穴(牙のあと)が開いており、鼻が痛くなるような刺激臭を放つ液体(クモの毒)にまみれている。この液体を調べて〈医学〉か〈科学(薬学)〉に成功すれば、恐ろしい猛毒だと推測できる。これはわなクモの仕業である。
 探索者が必要としているもので、キーパーが展望台の売店でも売っていそうだと判断したものならば、ここで入手できる。

○広場
 白い玉砂利のしかれた気持ちの良い広場のはずだが、いまは深い霧に覆われて、景色を楽しむことはできない。ここもまた無人で静かだ。
 ただし、砂利の地面のあちこちがツルハシでひっかいたように深くえぐれ、粘着力のあるメッシュのようなものが付着している。これは二匹のレンのクモが縄張り争いをしたあとだ。今後、情報を集めた探索者が「これは争いの痕跡ではないか?」と推測したのなら、キーパーは「それに間違いないだろう」と伝えて、その慧眼を賞賛してあげること。

○縁結びの鐘
 展望台の端にある西洋風の大きな鐘。鐘の台座にはピンク色の大きなハートがあしらわれており、とってつけたような軽薄さを感じさせる。
 鐘はロープを引っ張ることで、誰でも自由に鳴らせる。その音はやたらと大きい。
 案内板には、「恋人同士で鳴らせば幸せになれる。一人で鳴らせば恋人と出会える」という縁結びの御利益について書いてあるが、最近、観光客目当てに設置されたもので、なんの根拠もいわれもない。
 ただ、この鐘を鳴らすことで二匹のレンのクモを広場に誘導できるため、探索者にとっては重要な施設だ。詳しくは後述する。

○展望カフェ「シエスタ」
 景色を眺めながら、お茶や軽食が楽しめる洒落たカフェだったが、いまの外観はひどい有様だ。入口のドアは壊され、スチール製のドア枠も大きくゆがみ、まるでトラックでも突っ込んだかのようだ。
 また、入口とは離れた壁には音楽を流すためのスピーカーがあるのだが、それも滅茶苦茶に壊されている。ただし、売店とは違って、こちらはツルハシのようなもので滅多打ちにされたような壊れかただ。これは狩りクモの仕業である。
 店内の様子については後述する。

○登山道と立て看板

 舗装された登山道。ふもとまで続いている。一般車両は通行禁止だが、関係者のみ車の通行が許可されている。道幅は軽トラックがなんとか一台走れる程度だ。ただし、この道に沿って狩りクモが徘徊している。
 登山道の入口には、いねむり山に伝わる昔話が書かれた立て看板がある。プレイヤー資料「いねむり山の昔話」を渡すこと。

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プレイヤー資料:いねむり山の昔話

 なぜか、この山ではいねむりしてしまうものが多かった。ひどいときにはいねむりしたまま死ぬものまでおり、みんな山に入るのをこわがった。
 ところが、この山にはきこりが一人でくらしていた。人にもケモノにもやさしい男で、シロという猫をたいそうかわいがっていた。そのせいか、木こりが山でいねむりすると、いつもシロが起こしてくれたという。
 そんなシロにあやかろうと、この山のものたちは「眠り猫」の石像を祭ることにした。それからというもの、この山でいねむりするものはいなくなったそうな。めでたしめでたし。
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 登山道を下りようとすると、途中に軽トラックが横転しているのが見える。車体は傷だらけで、ツルハシで叩かれたような深い穴がいくつも開いている。エンジンも破壊されており走行不能だ。
 ガラスにはヒビが入り、大量の血が内側から飛び散っている。血の合間から見える車内には、全身の骨がぐちゃぐちゃに砕けた血まみれの中年男性の死体がある。死体はカフェの店長だ。狩りクモに軽トラックを捕まえたが、車内の店長を取り出すことができず、いらだって車ごとシェイクしたのである。無残な死体を目撃した探索者は0/1D3正気度ポイントを失う。
 軽トラックを調べた探索者は、登山道を下ったほうの大木が大きく揺れるのに気づく。狩りクモが探索者の気配に気づいて、こちらに迫っているのだ。急いで展望台のほうに引き返さねば、狩られるだけだ。探索者がのんびりしているようなら、狩りクモの巨体の一部を見せて、ここに残るのは危険であることを示唆しよう。
 事故車から、さらに登山道を5分ほど下ったところに「眠り猫」の石像はあった。しかし、この先に進むには徘徊する狩りクモをどうにかしないとならない。詳しくは後述する。

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コラム:警察などへの通報

 展望台の惨状を見れば、警察や消防に通報するのは自然な行動だろう。
 ただし、リフトは止まっているため、救助が到着するまで時間がかかると伝えること。それでも探索者がカフェの倉庫などに閉じこもって、消極的に救助を待つようであれば、やがて警察のほうから連絡が入る。
 救助に向かったメンバーからの連絡が途絶え、なんらかの事故が起きたらしいというのだ。原因不明の二次被害に、警察も混乱している。新たな犠牲者が出たことを知った探索者は0/1正気度ポイントを失う。
 警察はきちんと仕事をしているが、今回は相手が悪すぎる。これ以上の被害を出さないためには、現場にいる探索者が行動するしかないわけだ。
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いねむり山案内図

◎6.展望カフェ「シエスタ」


 .展望カフェ「シエスタ」の店内は、景色を眺められる木調のカフェスペースと、厨房や事務室などの従業員用のスペースに分かれている。景色がよく見えるようにガラス窓はとても大きいが、いまは霧のせいで外は真っ白だ。
 入口付近の木製の床には、ツルハシでひっかいたような深い傷が無数についている。また、入口付近にある会計のカウンターや座席は、とてつもない力でたたき壊されている。これは狩りクモの仕業だ。
 キーパーは売店の破壊状況とは異なることを強調して描写すること。
 カフェは無人のように見える。座席には客のいた痕跡もない。厨房や事務室にも誰もいない。
 ただし、厨房の奥には比較的頑丈なスチール製のドアがあり、食材や雑貨を入れておく2畳ほどの小さな倉庫になっている。そこには従業員の七味とんとが隠れている。ドアには内側からつっかえ棒をして開かないようにしている。
 彼女は倉庫の奥で震えているため、普通に呼びかけても返事はない。大声で呼びかければ声に気づくが、狩りクモを呼び寄せる危険がある。SNSを通じて呼びかけるのは、とても良いアイデアだ。
 なんらかの方法で、中の七味とんとへの呼びかけに成功すれば、彼女は怖々とドアを開ける。
 探索者が来てくれたことを涙を浮かべて喜ぶが、まだ外には怪物がいると知るとショックを受ける。ただ、それでも仲間が増えたことを心強く思っている。キーパーは彼女の口から探索者に感謝の言葉を伝えること。
 七味とんとはしっかりした性格なので、探索者の足手まといにはならない。探索者の指示には素直に従う。もしも、探索者が迷っているときは、キーパーは彼女の口を借りてアドバイスしても良いだろう。
 ただし、年少探索者が「大人」である七味とんとに頼りすぎるようでは、面白いゲームは生まれない。その場合、キーパーは七味とんとがしっかりしているように見えて、案外ドジなところがあるとしても良いだろう。結局、年少探索者がしっかりしなければいけないわけだ。
 七味とんとに展望台で起きたことを尋ねるのなら、以下のような証言する。

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 外に霧が出てきたと思ったら……いきなりドアが壊されて、大きな黒い怪物が中に入ろうとしてきたの。でも、怪物は大きすぎて、なかなか入ることはできなかったみたい。
 すぐに私は厨房に逃げたんだけど、そのあと広場のほうでなにかが争うような大きな音がしてたような気がする。
 私は裏口から車で逃げようとしたんだけど……店長が一人で逃げたあとだった。霧の中、登山道を下りるのは怖かったから、私は倉庫にこっそり隠れていたの。

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「眠り猫」について尋ねられれば、七味とんとは以下に証言する。

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 登山道を5分くらいくだったところにある、小さな石の猫のことよ。
 山の守り神らしくて、地元の人は大切にしてるみたい。ここにバイトに入ったとき、「眠り猫」は絶対に動かしちゃいけないって言われたっけ。

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◎7. レンのクモを誘導せよ

 賢明な探索者ならば、破壊されたスピーカーなどからレンのクモは音に敏感で、音を発するものを攻撃する習性があると気づけるだろう。プレイヤーがなかなか思いつかないようなら、キーパーの判断で〈アイデア〉に成功すればこのことに気づけるとしても良い。

 展望台で大きな音を鳴らすのに最適なのは、縁結びの鐘である。鐘を鳴らせば、レンのクモたちはそちらに集まるため、時間を稼ぐことができる。
 もちろん、普通に鐘を鳴らせば、鳴らした探索者が標的になってしまう。ロープにひもをつけて延長するのは良いアイデアだ。カフェや売店には、荷造り用のビニールひもがある。
 探索者が〈隠密〉に自信があるのなら、鐘を鳴らしたあとはこっそり逃げるのという手もあるだろう。たとえ〈隠密〉に失敗しても、危機一髪のところで二匹のレンのクモが争い始めるため、探索者はなんとか逃げ出せる。ただし、二匹のレンのクモを間近で目撃した探索者は1/1D10正気度ポイントを失う。
 なお、探索者が鐘以外に、もっと大きな音を鳴らせるもののアイデアを思いついた場合、キーパーの判断でそちらを採用してもよい。

 大きな音を鳴らせば、リフト乗り場と登山道のほうからレンのクモたちが、音のしたほうにやってくる。
 そこで出会った二匹は、縄張りを主張して相手を威嚇する。探索者にとっては、今こそ登山道を下りるチャンスだ。

 登山道の途中にある軽トラックを通り過ぎて、さらにしばらく下山すると、途中にポツンと地味な立て看板がある。そこには白地に黒で「眠り猫」とだけペンキで書いてある。
 立て看板の脇には、お地蔵様が立っているような石の台座があり、お供え物らしい湯飲みが置いてある。周囲は草刈りと掃除がされており、大切にされていることがわかる。
 ただ、驚くべきことに、その台座には肝心の「眠り猫」がない。台座には、いままでここになにかが置いてあった痕跡がある。その痕跡の大きさは、ちょうど猫くらいだ。
 なくなった「眠り猫」を捜して〈聞き耳〉か〈目星〉か〈追跡〉に成功すれば、近くでなにかの気配がするのに気づける。ほかにも、探索者が「眠り猫」を捜す手段を思いついたのなら、できるだけ採用してあげること。「眠り猫」を動かした容疑者の鎌倉佐羽のSNSにメッセージを送信して、携帯電話の着信音を頼りに捜すというのは良いアイデアだ。
 気配の先にあるのは、なんと10匹近い猫の集会である。猫たちは地面に倒れる女性(鎌倉佐羽)を取り囲むように輪になっている。鎌倉佐羽に目立った外傷はない。
 猫の種類は様々だ。ほとんどが野良猫のようだが、中には首輪をしている猫もいる。探索者が白い猫を探すのならば、とても美しい白い毛並みで、気品のある顔立ちの猫がいるのに気づける。この猫がドリームランドの気高き猫、シロである。
 最初、猫たちは探索者を無視している。
 ところが、ふとなにかに気づいたように視線を探索者のほう向けると、一斉に毛を逆立てて威嚇する。一瞬、それは探索者を威嚇しているかのように思える。
 ここでキーパーは少しだけ探索者を驚かせること。
 ただ、実は猫たちが威嚇しているのは、探索者の背後に迫ってきている狩りクモに対してである。〈科学(生物学)〉か〈自然〉か〈心理学〉に成功すれば、それが探索者に向けられた威嚇ではないことがわかる。
 そんな猫たちが威嚇する中で、白猫だけは悠然としており、探索者と鎌倉佐羽を見比べてから、なんと日本語で、

「そやつは助けるに値するのか?」

 と、尋ねてくる。
 キーパーはここでプレイヤーに時間を与えて、どのような返答をするか考えてもらおう。プレイヤーが迷っているようなら、プレイヤー資料「いねむり山の昔話」を読み直すようアドバイスしてあげても良い。昔話では、シロは「やさしい男」を助けてくれたのだから、この場での回答はおのずと決まってくるはずだ。

 どんな形であれ、探索者が鎌倉佐羽を助ける意思表示をするなど、「やさしさ」を示したのなら、シロは探索者の中で一番〈幸運〉の高い探索者の腕の中に飛び込んでくる。そして、「私のお気に入りの場所まで連れていきなさい」と告げると、眠るように目を閉じてしまう。その途端、シロはずしりと重みを増して、腕の中で眠り猫の石像になっていく。
 この「お気に入りの場所」とは、元々、眠り猫のあった台座のことである。

 なお、鎌倉佐羽は昏睡状態にあり、〈応急手当〉などをしても目を覚ますことはない。今、彼女の意識はドリームランドに飛んでしまっているのだ。


◎8. そしてクモがやってくる


 探索者の手でシロが石像になると、今度は霧の中から木々をへし折りながら狩りクモが現れる。キーパーは以下の描写文を読み上げること。

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 紫を帯びた藍色をした巨大なクモだった。ただし、その脚の爪は黒く、鋭く、まるでツルハシのような硬さを持っている。毒液をしたたらせる牙は、まるで大型工作機械のカッターを思わせ、きっとひと噛みで人間の手足など簡単に切断してしまうだろう。
 複数の無機質な複眼がどこを見ているかはわからない。
 ただ、この怪物がたくさんのごちそうを前にして狂喜していることだけは、なぜか確信できた。

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 狩りクモを目撃した探索者は0/1D10正気度ポイントを失う。狩りクモは石像を持った探索者を狙っている。
 ただし、まだ戦闘ラウンドでのアクションにはならない。
 まずは狩りクモが、石像に向かって突進してくるのをしのがねばならないのだ。
 狩りクモが突進してくる前に、石像を持っている探索者以外の全員が行動できる。
 狩りクモは、ビルドが大きいため戦闘マヌーバーは通用せず、〈近接戦闘〉による足止めは困難だ。しかし、音に敏感な習性を利用して気をそらすことは可能だ。
 なにかを叩いて大きな音を出すには、STRロールに成功する必要がある。大声を出すのなら、CONロールだ。または〈芸術(歌唱)〉などの適切な技能があれば、キーパーの判断で代用できるとしても良い。
 また、なにか大きな音を発するもの(携帯電話など)を遠くに投げるという方法もあるだろう。
 さらに、まわりの猫に助けを求めることも可能だ。あとで高級な餌を持ってくるといった提案をして〈言いくるめ〉に成功すれば良い(この猫たちは人語を解する)。交渉が成立すれば、猫たちは俊敏な動きで狩りクモを翻弄してくれる。
 ほかにも探索者が狩りクモを誘導するための良いアイデアを思いついたのならば、キーパーは積極的に採用してあげること。石像を持っている探索者以外、全員がこの誘導に挑戦できる。ここはプレイヤーに時間を与えて、それぞれの探索者が得意な誘導方法を考えてもらおう。
 一人でも誘導に成功すれば、狩りクモは石像と誘導に成功した探索者のどちらに狙いを定めようか迷ってしまい、少しの間だけその場を動かない。
 誘導に失敗した場合は、木々をなぎ倒しながら、迷わず石像を持った探索者に突進してくる。この突進に巻き込まれないためには〈回避〉に成功する必要がある。成功すればダメージは受けない。失敗すれば倒れた木に押しつぶされて1D10ポイントのダメージを受ける(この攻撃には、狩りクモのダメージ・ボーナスは適用されない)。

 狩りクモの誘導に成功するか、もしくは狩りクモに突進されても探索者が意識を保っているなら、いよいよ石像を持った探索者は台座に戻すことに挑戦できる。
 石像を持った探索者が行動不能になっているのなら、別の探索者が石像を拾い上げねばならない。すると、狩りクモもその探索者に狙いを変更する。
 石像を持った探索者がDEXロールに成功すれば、すぐに元の位置に戻すことができる。失敗すれば、足場の悪さによろめき石像を落としそうになるため、元に戻すのが一歩遅れてしまう。
 そんな探索者を狩りクモは攻撃する。〈回避〉に成功すれば、ダメージは受けないが、失敗しすれば1D10ポイントのダメージを受ける(この攻撃には、狩りクモのダメージ・ボーナスは適用されない)。
 狩りクモの攻撃を受けても、まだ石像を持った探索者が意識を保っているのなら、次はロール不要で石像を台座に戻せる。

 上記のロールのうち〈回避〉以外は戦闘ロールではないので、プッシュ・ロールが可能である。ただし、プッシュ・ロールに失敗すれば、その騒音や扱いの悪さによって石像の安眠を邪魔してしまう。石像から、不機嫌そうな猫のうなり声が聞こえてくる。機嫌を直してもらうためにはAPPロールや、ほかの適切なロールに成功する必要がある。これは誰でも挑戦できる。
 不幸にも全員がロールに失敗すると、石像は完全に機嫌を損ねてしまい、猫の姿に戻ってどこかに行ってしまう。こうなったら狩りクモに対抗する術はなく、もはや逃げるしかない。以後の展開は「◎9.やさしくない探索者」を参考にすること。


◎9. やさしくない探索者の場合


 シロの問いかけに対して、探索者が「やさしさ」を示さなかった場合、または猫に危害をくわえようとした場合、シロは人間に見切りをつけてその場を去る。ほかの猫たちもそれについていき、あっという間にどこかに消えてしまう。あとを追うことはできない。
 代わりに狩りクモがやってくる。狩りクモを目撃した探索者は0/1D10正気度ポイントを失う。
 狩りクモと戦っても脆弱な人間に勝ち目はない。探索者にできることは逃げることだけだろう。念のため、キーパーは探索者に鎌倉佐羽を助ける意志はないのか確認すること。あとで助けるつもりだというのなら、ここに置いていけば、確実な死が彼女には待っていると告げること。

 逃げるにしても、登山道を移動すれば、狩りクモから丸見えだ。森の木々に隠れて逃げるには〈隠密〉、斜面を駆け下りるのなら〈登攀〉に成功する必要がある。ほかにも探索者が逃げるための名案が思いつけば、キーパーは採用してあげること。ただし、鎌倉佐羽を担いで移動するのなら、前述のロールの難易度はハードとなる。
 もしも、誰かが自分の身を犠牲にしておとりになるというのなら、ほかの探索者たちは前述のロールにボーナス・ダイスを1つ得る。ただし、おとりになった探索者は助からない。とは言え、キーパーはそんな自己犠牲の精神を発揮した探索者の最期は、できるだけ丁寧に演出してあげよう。
 狩りクモから逃げるためのロールに成功すれば、探索者は無事に生還できる。失敗すれば、狩りクモの餌食である。

 探索者がふもとまで逃げ延びると、やがて山頂の霧は晴れる。展望台付近では多くの犠牲者が発見される。
 また、眠り猫は消えてしまったため、いねむり山は覚醒の世界とドリームランドの境界が曖昧な危険なスポットとなる。
 いつまたドリームランドとつながって、レンのクモがやってくるかもわからない……そんな不安を抱えながら、探索者は生きていかねばならないわけだ。この場合、残念ながら正気度の回復はない。


◎10.結末


 眠り猫の石像を台座に戻すと、あたりに立ちこめていた霧が少しずつ薄らいでいく。
 ……と、そのとき!
 探索者の頭上を覆い尽くすような巨大な狩りクモが飛びかかってくる。
 しかし、それは幻のように、探索者を通り抜けてしまう。そして、霧が晴れるにつれて狩りクモの姿ばどんどん薄れていき、やがて消えてしまう。眠り猫が元の場所に戻されたことで、覚醒の世界とドリームランドのつながりが切断されたのだ。

 そして、ドリームランドに意識が飛んでいた鎌倉佐羽も無事に目を覚ます。
 探索者は彼女にどのような言葉をかけるだろうか?
 キーパーは、探索者からの鎌倉佐羽への文句の一言くらいは聞いてあげよう。

 探索者が事前に警察などに通報していれば、霧が晴れたところで救助にやってくる。キーパーの口から、探索者のおかげで、この山ではもう恐ろしいことは起きないだろうと伝えてあげよう。

 かくして、レンのクモの狩り場から無事生還し、いねむり山に平穏を取り戻した探索者は1D6正気度ポイントを獲得する。また、鎌倉佐羽や、七味とんとが生存しているのなら、NPC1人につき1正気度ポイントを獲得する。