PARANOIA・ふたつの解説

冷静な解説 ホッ トな解説
 パ ラノイアとは、1987年頃にWEST END GAMESより発売されたTRPGです。残念ながら、まだ(おそらくは永遠に)日本語には翻訳されてはいませんが、英語のルールブックならば日本のゲームショップ等で手に 入れることは可能でしょう。
 なお、現在流通しているパラノイアは第五版となっておりますが、このページで紹介しているパラノイアは第二版のルールを使用してお ります。

 パラノイアの舞台はアルファコンプレックスと呼ばれる、巨大な地下都市です。
 舞台からもわかるように、時代は近未来(正確にどのぐらい未来なのかはプレイヤーには知らされません)とされています。すでに西暦 は使用されておらず、コンピューター歴というものが代わって使用されています。
 この時代の人類は、ある理由から地上を逃れ、このアルファコンプレックスで自給自足の生活をするようになっています。
 アルファコンプレックスは巨大都市以上の規模(正確にどのぐらい規模があるかは誰も知りません)があるため、そこに住む人々の多く は、アルファコンプレックスの外に世界があることすら忘れてしまっています。
 プレイヤーは、そんなアルファコンプレックスに暮らす市民をプレイすることになります。

 ただし、アルファコンプレックスには大きな問題があります。それは、都市機能を管理するコンピューター(意志を持つ人工知能)が 狂ってしまっているのです。
 このコンピューター自身には自分が狂っていることに自覚はなく、人類が幸せに暮らすために、完璧な都市管理をしていると信じきって います。しかも、たちの悪いことに、コンピューターのプログラムはごく一部の特権階級に握られており、彼らは彼らで自分に都合の良い ように勝手にプログラムを改変しています。
 そのため、ますますコンピューターは狂ってしまっていくのです。

 狂ったコンピューターは自分の管理から逸脱した市民に対し、「反逆者」として即処刑という単純明快な処罰をくだしています。
 しかも、コンピューターが逸脱したと考える事柄は、実に厳しいものです。
「コンピューターは完璧である」
「完璧なコンピューターに管理されたアルファコンプレックスの市民は完璧である」
「完璧な生活をしている市民は幸福である」
 こういった前提に基づいて、コンピューターは逸脱した市民(反逆者)を決定します。
 具体的には、従わないこと、間違えること、幸福でないこと、不潔であること……このような市民は反逆者として処刑されてしまいま す。
 つまり、どんな市民であっても、反逆者となる可能性が多々あるというわけです。なにしろ、完璧で常に幸福な人間などいるはずが無い のですから。
 コンピューターはアルファコンプレックスの多くの場所をカメラを通して見張っており、市民はいつでも反逆者として処刑される恐れが あります。
 そして、それ以上に他の市民から反逆者として処刑される恐れもあります。反逆を見逃すこともまた明確な反逆だからです。
 もちろん、これはプレイヤーキャラクターにもあてはまります。
 それどころか、処刑される可能性は普通の市民以上です。
 なにしろ、プレイヤーキャラクターはゲーム開始後、上司から無理難題を命じられては、それを解決するよう活動しなくてはならないか らです。
 当然、間違いをする可能性も、不幸になる可能性も、不潔になる可能性も高くなります。他にも事故死や、もっとくだらない死に方(歯 磨き粉が爆発するとか……)をする可能性だって高くなります。
 そんな世界では、あっというまにプレイヤーキャラクターが全滅してしまいそうですが、幸いなことに市民には6人のクローンが用意さ れています。たとえ、なんらかの原因でその市民が死んだとしても、次のクローンがすぐにやってくるのです。
 もちろん、不幸にも(よくあることですが)6人全員の市民が死んでしまったらゲームオーバーです。

 これがパラノイア世界の大まかな説明です。
 こんな狂った世界で、いったいどんなプレイをすればよいのか?
 このゲームの目的は、いかに愚かな市民を演じて笑いをとるかにあります。
 愚かな市民を演じる要素は、アルファコンプレックスには満ち満ちています。
 狂った恩着せがましいコンピューター、無理難題を平気で命じる上司、官僚主義にどっぷり浸かった無能な役人、うんざりするほど故障 する様々な装置、無意味に反抗的な秘密結社、異常で異能なミュータントたち、そして、どうしようもなく愚かな仕事仲間……
 これらを利用して、プレイヤーは、精一杯、愚かで幸福な市民を演じるのです。
 賢く生きようとしてはいけません。
 相手は狂ったコンピューターたちなのですから、どうせ無駄なことです。
 命懸けで格好良いロールプレイをするRPGがあるなら、命懸けで愉快なロールプレイをするRPGがあってもよいはずです。
 しかも、他の多くのRPGとは異なり、命懸けの挑戦が失敗したとしても、次のクローンはすぐにやってきてくれるのです(5回までで すが)。

 他人を笑わせ、自分も笑うことが、このゲームの勝利なのです。
 パラノイアは素晴らしい!
 パラノイアは、いつでも、どこでも、だれがプレイしても最高におもしろいゲームがプレイできるという保証のされた、世界で唯一 のゲームです。
 これを素晴らしいといわずして、なんと表現しましょうか?
 繰り返します。
 パラノイアは素晴らしい!
 あなたが同意するまで繰り返します。
 パラノイアは素晴らしい!!

 ところで、なぜパラノイアは、これほどまでに素晴らしく、そしておもしろいのでしょうか?
 答は簡単です。
 完璧だからです。
 プレイヤーは、完璧なコンピューターに管理されたユートピアであるアルファコンプレックスに、幸福に暮らす市民をプレイするこ とになります。
 完璧に管理されたユートピアで、完璧に幸福な市民をプレイする……これでおもしろくないはずがありません。
 もしも、このゲームがおもしろくないとしたら、間違いなくそのプレイヤーキャラクターは反逆者でしょう。
 そういうときには、クローンをひとり減らしてからゲームを始めれば、きっとおもしろいゲームとなるはずです。
 それでも、おもしろいくないといのならば、もうひとりクローンを減らしてみればよいでしょう。
 信じなさい。
 パラノイアは完璧におもしろいゲームです。

 こんな素晴らしいゲームの舞台であるアルファコンプレックスを管理してくれているコンピューターとは、いったいどんな存在なの でしょうか?
 一言でいえば、我らの良き友人です。
 コンピューターは常に市民たちが幸福であるよう見守っています。
 アルファコンプレックスのすべての都市機構は、コンピューターの完璧なる管理によって維持されています。
 市民達はコンピューターの指示する完璧な都市計画に従い、アルファコンプレックスのために奉仕を続けています。
 それは幸福のための奉仕でもあるのです。
 勘違いしないでもらいたいことは、コンピューターは支配しているのではありません。
 管理をしているのです。
 信じなさい。
 コンピューターは友人です。

 しかしながら、アルファコンプレックスのどこにでも反逆者は潜んでいます。
 善良な市民ならば、こういった反逆者を見逃してはいけません。見つけ次第、すぐに射殺するべきです。
 反逆者を見逃すことは、反逆だからです。
 さて、どうしたら反逆者を効率よく見つけ、射殺することができるのでしょうか?
 それは、まず射殺してから尋問をすることです。
 相手が反逆者であると証明するのは、それからでも遅くありません。

 注意してください!
 善良と思われていた市民であっても、いつでも反逆者となる可能性があります。
 従わないこと、間違えること、幸福でないこと、不潔であること……反逆のタネはいくらだってあります。
 ただし、反逆しないようにプレイすることは実に容易なことです。
 つまり、従い、間違えず、幸福であり、清潔な市民をプレイするのです。パラノイアが完璧である理由が、だんだんとわかってきた のではないでしょうか?

 最後に、パラノイアのゲームマスターはコンピューターに最も信頼されている友人です。
 ゲームマスターは楽しいゲームをするために、常に最善を尽くしてくれます。
 プレイヤーの負担を軽減するため、ゲームマスターはすべての判定に関するルールを熟知し、公平な判定結果をプレイヤーにわかり やすく伝えてくれます。
 ですから、プレイヤーはゲームマスターのいうことに従っていればよいのです。
 そうしていれば間違いありません。
 疑ってはいけません。
 疑うことは反逆です。

 繰り返します。

 疑うことは反逆です。
 疑うことは反逆です……

もっと詳しいことを知りたいという方は、是非、以下にご紹介するサイトをご参照下さい。
より深く、パラノイアの世界を知ることが出来ることでしょう。

馬場秀和ライブ ラリ

 こちらのページ内の「魅惑の海外RPG達:ユーモア/パロディ」の中にある「パラノイア紹介」は、パラノイアの入門書としては秀逸です。
「パラノイアってなんだ?」というかたは、是非、最初に読まれると良いでしょう。


奉仕 の会ホームページ

 私がパラノイアをプレイするようになったのは、すべてはこの「奉仕の会」様のおかげです。
 コミックマーケットにてパラノイア同人誌を多数発売しており、その内容は実にコンピューターへの奉仕の心に満ちあふれた素晴らしいモノです。
 残念ながら、同人誌の通信販売などは行っていないそうなので、興味のある方は、このホームページで情報を入手してコミックマーケットにて購入してみるとよい でしょう。


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