第 一章・ULTRAVIOLETよりの補足


 こんにちは、市民。私はYASU-B-JRO-2です。

……ZAPZAPZAP

 失礼しました、市民。
 このページはウルトラヴァイオレットクリアランスに属しております。それ以下のクリアランスの市民が閲覧することは反逆です。
 では、改めてこんにちは、 YASU-UV-JRO-2です。
 さて、ここを閲覧している市民は、もちろんウルトラヴァイオレットクリアランスに属する市民ですね?
 もしそうでないのならば反逆です。自分自身を処刑してください。
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 よろしい。
 ではここを読んでいる市民は、すべてウルトラヴァイオレットクリアランスの市民ということになりましたね。
 このページでは、リプレイ「チキチキ市民猛レース」をテキストに、私なりのウルトラヴァイオレットのやりかたを紹介しようと……

……ZAPZAPZAP

 失礼しました。
 コンピューター様ともっとも親しい友人であるウルトラヴァイオレットは、当然のごとく完璧です。
 よって、ウルトラヴァイオレットに「私なり」などというやわな言葉は存在しません。
 では、これから唯一無二の完璧なるウルトラヴァイオレットのやりかたの紹介を行います。
 ……はて、よく考えてみると、ここを閲覧している市民は全員ウルトラヴァイオレットであり、すなわち完璧なのですから、そのような市民達に紹介文などは必要 無いような……

……ZAPZAPZAP


 さて、パラノイアのプレイは、基本的に六つの展開にわけられます。
 具体的には、

 導入:ブリィーフィングが召集されるまで
 召集:ブリーフィングルームにたどり着くまで
 ブリーフィング:MBDテストを受けたり、任務内容を説明してもらう
 装備支給:任務に必要な装備を支給してもらう
 任務:授かった任務を達成しようとする
 デブリーフィング:終了した任務の報告をする


 です。
 シナリオによっては、このどこかに秘密結社よりの秘密指令を受けるイベントなどが挿入されたりもします。
 普通のゲームでは、プレイ時間や労力の多くは「任務」に振り当てられます。当然、任務の遂行がストーリーのメインとなるからです。
 しかし、パラノイアにおいては「任務」に、さほど時間も労力も振り分けられません。
 なぜならば、パラノイアには「任務」以上に困難なイベントが多くあるとからです。
 そう、パラノイアにおいては日常生活を無事に送ることですら、非常に困難なのです。
 危険はどこにでも潜んでいます。
 反逆をすれば、即処刑です。
 反逆者は、いつでも市民を陥れようとしています。
 装置や装備は、常に爆発する危険性を秘めています。
 練り歯磨き粉のキャップを開けることにすら、死の可能性があるのです……しかも、多分に!
 このようなアルファコンプレックスがゲームの舞台なのですから、任務以前の行動が多くの時間と労力を要することも、容易に理解できるでしょう。

 さて、自分を賢明であると誤解している反逆者は、そのような「任務」以外の展開を省略すれば、より多くの時間を「任務」にあてることができるだろうと考える ことでしょう。
 多くの普通のゲームでも、そういった日常生活部分をプレイから省略しているからです。
 しかし、考えてみてください。
 日常生活が「任務」よりもエキサイティングで愉快であった場合、あなたはそれを省略する必要があると思いますか?
 そうです! 完璧に楽しいゲームであるパラノイアでは、なんと日常生活ですらストーリーのメインとなるべき「任務」と同等に……時にはそれ以上にエキサイ ティングで愉快な時間と成り得るのです。
 信じなさい、疑うことは反逆です。

 なお、これは蛇足ですが、パラノイアではシナリオを作るのに手間がかかりません。
 その理由は……わかりますよね、市民?
 さて、これでもまだ「任務」以外の展開を省略したいと思いますか?


 前置きが長くなりましたが、「第一章・さあ、アルファコンプレックスの幸福な一日が始まった!」について考えてみましょう。
 当然、これは先に記述した展開の中では「導入」の部分にあたります。
 読んでいただければわかるように、まだ「任務」の「に」の字も出ていないというのに、市民達は実にエキサイティングで愉快な生活をしております。
 なにしろ、任務が始まる前にPCが死んでしまうゲームなんて、他にはないでしょう。
 パラノイアにおける「導入」の重要な意味は、プレイヤーたちに市民の生活を理解(もしくは、思い出して)してもらうことです。
 残念なことに、パラノイアをプレイしたことがあるプレイヤーは少ないため、より危険度の高い「任務」が始まる前に、「導入」部分でアルファコンプレックス内 での生活に慣れてもらうのです。
 単なる日常生活にも、これだけの危険があると知れば、賢明な市民ならばそれまで以上に気持ちをしめてプレイに挑んでくれることでしょう。

 今回はアルファコンプレックス内での楽しい食事シーンからゲームを開始させました。
 食事を見れば、その国の文化がわかるといいます。それはアルファコンプレックスでも例外ではありません。
 他にも、いろいろな導入は考えられますが、一番無難なものはサービスグループで奉仕をしているシーンからスタートさせることでしょう。幸福な奉仕こそ、幸福 なゲームの第一歩だからです。

 また、このシーンではテレビコマーシャルという形で、今後のシナリオの伏線もはってあります。
 普通のゲームにも言えることですが、どんなにささいなことでも伏線をはっておくことは重要です。ほんの小指の先ほどの伏線でも、あらかじめはっておけば、今 後の展開に説得力が生まれてくるというものです。

 あと、絶対に必要というわけではありませんが、「導入」の間に市民を追い詰めておくことも、エキサイティングで楽しいゲームをするのに役立ちます。
 このリプレイでは、STAR-R-INN-1が自ら招いたトラブルにより多額の借金を作りました。そして、彼はその借金を愚かにも賭博で取り戻そうとしてい ます。
 しかし、このことが後ほど、STAR-R-INN-1を更に追い詰めることになるであろうことは、賢明な市民ならば容易に予想出来るでしょう。
 追い詰められた市民は、ほうっておいても、よりエキサイティングで愉快なゲームをしてくれるはずです。
 ひとりでも多くの「追い詰められた市民」を造り出すこと……それは、ウルトラヴァイオレットの重要な仕事のひとつと言えます。

 では、今回はこれまで。
 市民の幸福を祈ります。
 幸福は義務です。


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