第 七章「アルファコンプレックスの長い午後」


キャラクター・プレイヤー紹介
自画像
名前:MO−R−ISE−3
サービスグループ:HPD&MC
秘密結社:イルミナティ

MBD:ハッピネスオフィサー
ミュータントパワー:エンパシー


 今回は、これまで紹介されていなかったミュータントパワーの紹介。少々、レッドクリアランスには不適当な情報のため、色を赤くしておきました。 自分がミュータントパワーの秘密を知るのに相応しくないと判断した市民は、この紹介文を読んではいけません。

 エムパシーは単に心を読むだけのテレパシーよりも、ちょっと高等な能力。それは自分の感情を他人に投射して、同じ感情にさせてしまうのだ。自分 の怒りや、悲しみ、恐怖を植え付けることによって、他人の感情を操作してしまう、考えると恐ろしい能力だ。もっとも、アルファコンプレックスで は、みんな常に幸福なので、あまり意味がないような気がするが……
 本編では、まるで他人を操り人形のように操作しているが、実はこれほど便利なものではない。次回、同じ感覚でこの能力を使用した市民は、きっと その効果の違いに愕然とすることだろう。パラノイアではよくある話である。 
名前:Rese−R−VED−2
サービスグループ:テクニカルサービス
秘密結社:プロテック

MBD:C&Rオフィサー
ミュータントパ ワー:メカニカル・インチューイション

 聞き慣れない能力だが、これは機械音痴の正反対の人間のことを指す。
 この能力を使えば、どんな機械であろうと雰囲気で操作ができる。極端な話、宇宙人のUFOであっても、ちょっと見ただけでなんとな操縦できてし まうのだ。まるで、B級SF映画のヒーローのように!
 問題は、能力判定に失敗しても、自信を持って間違った操作をしてしまうところであるが、まあそれが操作ミスかアルファコンプレックスではよくあ る機能不全であるか、それはコンピューター様でもなければ判断できないことである。
 パソコンアレルギーの人々にとっては、初めて使うパソコンソフトをなんとなく感覚で操作しているパソコンユーザーのことを、この能力者であると 感じていることだろう。 
STAR−R−INN−2
サービスグループ:HPD&MC
秘密結社:コミュニスト

MBD:ハイジンオフィサー
ミュータントパワー:ディープ・プローブ

 これまた、あまり聞き慣れない言葉。簡単に言えば、人の精神から情報を探り出す能力である。
 一般的なテレパシーと違うのは、相手がいま考えていることを表層的に読みとるのがテレパシーであるに対し、この能力は必要な情報を(時には対象 が忘れていることですら)、無理矢理に探り出すというところにある。
 もっとも、目と目が合えばパッと心が通じ合うテレパシーほどお手軽ではなく、使用の際には相手に触れ合い、非常な精神的苦痛の末に、やっとのこ とで情報を得られるのである。
 成功すれば便利な能力であるが、こんなに目立ってしまうのではすぐに反逆者として抹殺されてしまうのがオチという、実に使い勝手の悪い能力であ る。
名前:Tokyo−R−OSE−2
サービスグループ:アームドフォース
秘密結社:アンチ・ミュータント

MBD:チームリーダー
ミュータントパワー:ハイパーセンス

 五感を極端に増幅することで、目を望遠鏡や顕微鏡のようにしたり、騒音の激しい原子炉の中での密談を聞き分けたり、市民の隠しているチョコバー の臭いを嗅ぎまわしたり、フードバットの強烈な味に昏倒したりすることができる。
 地味な能力だが、それだけに使用してもほとんどバレる恐れのない能力のため、なかなか便利である。

◆スタート地点

 スタート地点ではMO-R-ISE-3とRese-R-VED-2がマシン内に待機中。
 他の市民達は、おのおのの担当する障害地点に先行しています。

Rese-R-VED-2:私はより斬新なアングルで撮影するために、ボンネットの上に縛り付けてもらうことにしよう。
MO-R-ISE-3:素晴らしい、市民。

 では、スタートの合図がレーザーガンによって鳴らされ、各車一斉にスタートしていきました。

MO-R-ISE-3:そうだ。後ろからついて行って、みんながどうやって障害を越えるのか見ているというのはどうでしょうか!?
STAR-R-INN-2:おおっ、その手があったか!
Rese-R-VED-2:ダメだ、ダメだ、私はトップを走る姿しか撮影するつもりはないぞ。

 そもそも、後ろからついていくという発想自体がレースという状況の中でおかしいです。

MO-R-ISE-3:わかりましたよ。では、発進……ポチッとな。

 判定をどうぞ。
 おや、クリティカルですね。
 では、トラブルシューターのマシンはすさまじいロケットスタートで、一気にトップに躍り出ました。ライバルたちは後方にかすんで見えません。

MO-R-ISE-3:いやったぁ〜(泣笑)

 では、Rese-R-VED-2は、この加速にボンネットの上で耐えられるかどうかを判定してください。

Rese-R-VED-2:やっぱりやるのぉ? あ、成功。

 素晴らしい。では、あなたはボンネットの上でものすごい風圧に耐えながら、斬新なアングルでの撮影を続けています。

Rese-R-VED-2:疑いようもなく幸福な奉仕だ!


◆第一障害地点

 フードバット地獄。巨大な桶の中に、おぞましい流動食が溜まっています。この上をマシンはどうにかして走り抜けねばなりません。
 ここでは、Tokyo-R-OSE-2が先行して準備を進めています。

Tokyo-R-OSE-2:では、インフラレッドの居住区に行って、連中の掘っ建て小屋からトタン板をベリベリとはがします。
IRのクズ:ああっ、それだけは持っていかないでくれズラ。
Tokyo-R-OSE-2:うるさい! そうだ、おまえたちも運ぶのを手伝え。各自トタン板を持って整列、進めぇ〜(レーザーガンを振り回す)

 すると、コースの向こうからトラブルシューターのマシンのクラクションが聞こえてきます。

Tokyo-R-OSE-2:お、どうやらやってきたようだな。よし、おまえたちフードバットの中に板を並べるんだ。前進〜!(レーザーガンを振り回す)

 インフラレッドたちはトタン板を頭にかかげて、ズブズブとフードバットの中へと歩み行っていきます。

IRのクズ:レッド様、なんだかオシリがチリチリ痛いんですけど?

 フードバットはステンレスのスプーンですら溶かしてしまうほどの強酸性を誇っています。

Tokyo-R-OSE-2:気にするな。進め〜!(レーザーガンを振り回す)

 指示通り、連中は自分の身を犠牲にしてフードバット内に即席の橋を作り上げました。

Tokyo-R-OSE-2:並べたら出てもいいぞ〜!(レーザーガンを振り回す)

 戻ってきたインフラレッドは1/3に減っています。とても食べ物の中を泳いできたとは思えない憔悴ぶりです。

Tokyo-R-OSE-2:よーし、市民。いまのうちに走り抜けるんだ!(気にしていない)
MO-R-ISE-3:ありがとう、市民! 一気に行くぞ〜! 判定失敗……

 では、マシンのスピードが乗り切っていなかったらしく、途中でタイヤがフードバットに沈み込んでしまいます。

MO-R-ISE-3:まずい!
Tokyo-R-OSE-2:(一瞬の迷いもなく)インフラレッド、おまえたち背中でタイヤを支えてこい!
IRのクズ:そんな自殺的な任務は……
Tokyo-R-OSE-2:ひとり撃つ……ZAPZAPZAP
IRのクズ:でも、そんな自殺的な任務は……
Tokyo-R-OSE-2:もうひとり撃つ……ZAPZAPZAP
IRのクズ:わかりましたぁ、ぼくらの背中を乗り越えてください!

 インフラレッドはバシャバシャとフードバットの中を泳いで、今度は人間の橋を造ります。
 判定は……成功。
 無事にトラブルシューターのマシンはフードバットを越えました。

Tokyo-R-OSE-2:よくやったぞ、おまえたち! 褒美にチョコを1本、フードバットに沈んでいくインフラレッドに投げてやろう。
Rese-R-VED-2:では、ターミネーター2のように、フードバットの中から手だけをつきだしているインフラレッドの手に握られたチョコを撮影しつつ、 この場を走り去ることにしよう。
MO-R-ISE-3:イヤッホー、飛ばしますよ〜!!

Tokyo-R-OSE-2:よし、ではR&D製のジェットローラースケートで追いかけるぞ。
MO-R-ISE-3:オートバランサーキャップは被らないんですか?
Tokyo-R-OSE-2:さっき、こっそり試験はしておいたから、今度は装着しない場合のテストをしてみるぞ。(あまりにこっそりだったため、ウルトラ ヴァイオレットですらその姿を見ていないほどであった)

 じゃあ、キャップを装着しないで判定してください。

Tokyo-R-OSE-2:成功。ばひゅ〜ん!

 Tokyo-R-OSE-2のジェットローラースケートは、R&D製ならではのデタラメな超加速でフードバットを軽々と飛び越え、さらにトラブルシューター のマシンをあっさりと追い抜いて、次なる障害へと突っ走っていきました。

MO-R-ISE-3:は、速い……
Rese-R-VED-2:さすがはR&D製。素晴らしい機能だね!(乾いた笑い)


◆第二障害地点

 巨大ゴシゴシボット「モピーディック」が無心にコースの清浄に励んでいます。
 レースが始まったことなどには、まったくお構いなし。
 彼の目的はあくまでコースの清浄であり、レースに対しては何の関心も持っていないのです。
 ここではゴシゴシボット使いのSTAR-R-INN-2が先行待機しています。

Tokyo-R-OSE-2:おーい、我々のマシンはトップで突っ走ってくるぞ〜!
STAR-R-INN-2:素晴らしい! では、私も作戦を実行しましょう。

 STAR-R-INN-2の作戦は、モピーディックの重心を片側に傾けることで、床に斜めの穴を掘らせ、モピーディックを陥没させるというものです。
 しかも、斜めになったモピーディックはマシンのジャンプ台と化すという、まことにご都合主義な作戦でしたが……

STAR-R-INN-2:成功です。

 度重なる無理な判定をことごとく成功させ、完璧な市民はダイスは失敗しないようにロールするという鉄則、それを身を以て体現するSTAR-R-INN-2。
 信じがたい幸運の持ち主である。

MO-R-ISE-3:おおっ、よくやった、ジャン〜プ!

 トラブルシューターのマシンはモピーディックの背中を飛び越え、難なく第二の障害を乗り越えました。

STAR-R-INN-2:では、モピーディックの重心を戻して、他のマシンの妨害をすることも忘れずに……
Rese-R-VED-2:ちっ、余計なことを……(Rese-R-VED-2は秘密結社の指令でライバルのスチームボンバー号を勝利させねばならないのであ る)

 なにやら、Rese-R-VED-2が不幸そうですが……

MO-R-ISE-3:それはいけませんね。では、窓を開けてボンネットにいるRese-R-VED-2に幸福剤を差し出しましょう。
Rese-R-VED-2:いや、それにはおよばないよ、市民。私は幸福だ、疑いようもなくね!
MO-R-ISE-3:そうですか?
Rese-R-VED-2:ところで、あの爆弾はどこに積んでいるのだね?
MO-R-ISE-3:爆弾、なんのとこです? 後ろに積んであるのは、赤い玉のオブジェです。
Rese-R-VED-2:そうそう、その赤玉だ。あんなものを積んでいると、マシンの速度が犠牲となってしまう。取ってしまおう、そうしよう!(反論の余地 を与えない口振り)

 Rese-R-VED-2は走るマシンの上を這いつくばりながら、後部のトランクへと向かいます。判定は……失敗ですね。
 残念ながら、Rese-R-VED-2は風圧でマシンから振り落とされました。
 ひとりで落ちますか? 爆弾と一緒にしますか?

Rese-R-VED-2:……一緒にします(苦い顔で)
MO-R-ISE-3:市民!
Rese-R-VED-2:私がいると、よけいマシンに負担がかかってしまう。赤玉と私のぶん、重量を軽くしたぞ!
MO-R-ISE-3:素晴らしい!
Tokyo-R-OSE-2:市民の鏡だ!

 では、爆弾を抱えたままゴロンゴロンとコースに落下するRese-R-VED-2。

Rese-R-VED-2:このままモピーディックに特攻するぞぉ。ゴロゴロ……

 どが〜〜〜ん
 赤玉は大爆発をして、Rese-R-VED-2ごとモピーディックを吹き飛ばします。
 さて、MO-R-ISE-3は爆発する間に爆発範囲である300mを走り抜けることができるか判定してください。

MO-R-ISE-3:ぐあああ、失敗。
Tokyo-R-OSE-2:まずい、ヒーローポイントを使え!
STAR-R-INN-2:そんなもんありませんよっ!
MO-R-ISE-3:ヒーローポイントは無いけどミュータントパワーなら!
Tokyo-R-OSE-2:それだ、とにかくなんか使え!

 パラノイアのトラブルシューターは例外なくミュータントパワーを所持しています。いわゆる超能力のようなものですが、その効果は様々で、使ってみないと具体 的にどんなことが起きるかはわかりません。

MO-R-ISE-3:ムニャムニャムニャ……成功。

 すると、ちょっと離れたところでレース観戦をしている寄り目のインフラレッドたちと目が合いました。

MO-R-ISE-3:よ、寄り目のインフラレッドたち……それがなにか?

 彼らと目があった瞬間、あなたは彼らの意志を自由にコントロールできるような気がします。

MO-R-ISE-3:おおっ、じゃあおまえたち肉の壁となって、このマシンを爆風から守るんだ!
IRのクズ:了解しました。ハイッ、ハイッ、ハイッ、ハイッ、ハイッ!

 MO-R-ISE-3のミュータントパワーによって操られた寄り目のインフラレッドたちは、ジャイアントロボOVAの下級エキスパートを彷彿とさせる動き で、組み体操のように互いの肩の上に立ち、自らの肉体で壁を形成します。
 彼らによって爆風は受け止められました!

MO-R-ISE-3:しんがりは任せた〜!

 インフラレッドの犠牲によって、トラブルシューターのマシンはトップを爆走します。
 続いて、他のマシンもモピーディックの残骸をすり抜け、後を追います。


◆第三障害地点

 ここで折り返し地点を通過して、トラブルシューターのマシンは疾走していきます。
 第三障害地点は下調べが及ばなかったため、Tokyo-R-OSE-2とSTAR-R-INN-2は清掃車に乗って先行しています。

 このセクターは、数キロはありそうな巨大な空間です。その内部は冷凍庫のように寒く、床はカチコチに凍り付いています。

STAR-R-INN-2:これでは、我々のマシンはスピンしてしまいます。チェーンが必要ですね。
Tokyo-R-OSE-2:そんなものはないから、氷を溶かしておこう。
STAR-R-INN-2:どのように?
Tokyo-R-OSE-2:このジェットローラースケートを清掃車の先端に取り付けて、氷を溶かしながら進むのだ!
STAR-R-INN-2:おおっ、素晴らしいアイデアです、市民。

 では、正しく取り付けるための判定をしてみてください。

Tokyo-R-OSE-2:……失敗。よし、完璧に取り付けることが出来たぞ。発進!
STAR-R-INN-2:いやいやいや、ちゃんととりついているかどうか、より完璧な奉仕のために私も確認しますよ……判定は失敗。よしっ、完璧に取り付け られている。さあ、行こう!

 では、しばらく進んでいると、なにやら清掃車の燃料タンクからピーッという音(沸騰すると笛が鳴るヤカンの音)が聞こえてきますが?

Tokyo-R-OSE-2:何の音だ?
STAR-R-INN-2:なにかが高熱を発しているようですよ。もしや、ジェットローラースケート?

 その直後、清掃車はオーバーヒートしたジェットローラースケートと燃料タンクのウランの誘爆により、原子のチリと化しました。

Tokyo-R-OSE-2:待ってくれ、判定はないの?

 では、ロールしてみてください。

Tokyo-R-OSE-2:コロコロ……

(ダイスがまだ転がっているうちに)残念ながら、きみたちは跡形もなく蒸発してしまったようだ。

STAR-R-INN-3:やあ、市民。遅れてすみません!
Tokyo-R-OSE-3:前任者のクローンは、誤りを犯した反逆者であったが、ともかく氷を溶かすことには成功したな。
STAR-R-INN-3:清掃車も大破してしまったし、我々もマシンに搭乗することにしましょう。
Tokyo-R-OSE-3:しかし、我々のマシンは速度が遅くなると、あまり幸福ではなくなる構造になっているんだな、これが。(トラブルシューターのマシ ンのエンジンは一度停止するたびにメルトダウンを起こす可能性があるのだ)
STAR-R-INN-3:ゴシゴシボットの背中に乗って併走し、飛び乗ることにしましょう。

 では、ゴシゴシボットのプログラムを改造する判定ですが……

STAR-R-INN-3:疑いようもなく成功です。
Tokyo-R-OSE-3:ゴシゴシボット便利だなぁ。今度から、俺もゴシゴシボットの技能を取ろう。
Rese-R-VED-3:次回も、こんなに役立つとは思えないけどね。
STAR-R-INN-3:では、一緒に飛び乗りましょう。
Tokyo-R-OSE-3:とうっ! ……判定は成功。

 なんとも幸運なことに二人ともマシンの後部にしがみつくことに成功しました。

Tokyo-R-OSE-3:やあ、市民。
Rese-R-VED-3:やあ、チームリーダー。奉仕ご苦労様です。
Tokyo-R-OSE-3:コースの氷を溶かすことには成功した。さあ、いまのうちに突っ走るんだ!
MO-R-ISE-3:さすがはチームリーダー様です。了解しました! ぶぅ〜〜〜ん

 順調にトップを独走するトラブルシューターたちですが、途中、コースの地面を形成している硬化テクタイトがボコボコに掘り起こされている道の悪いセクターに 入ります。

STAR-R-INN-3:なんだなんだ?

 その掘り起こされた床には、緑色の細いコードのようなものと、薄い板のようなものを無秩序に組み合わせた、複雑な構造をしている何かが乱立しています(これ はジャガイモ畑なのですが、市民たちは知るよしもありません)。

Rese-R-VED-3:速度は落とさずに、マシンを周回させてくれ。全方位から撮影をしたい。
Tokyo-R-OSE-3:試しにレーザーガンで撃ってみよう……ZAPZAPZAP

 すると床が爆発し、緑色のものは一瞬で蒸発します。
 そして、あたりには床の残骸に混じって茶色い歪な球体がゴロゴロと転がっています。
 なにやら見たことのない物体ですが、それは非常に香ばしくておいしそうな臭いを放っています。

全員:お、おいしそう!?

 では、この魅力的な香りに対抗できるか判定をどうぞ。

MO-R-ISE-3:失敗。マシンを停止します。
Rese-R-VED-3:お〜いっ!(しつこいようだが、このマシンは停止して再起動するたびにメルトダウンをする可能性があるのである)
MO-R-ISE-3:その茶色い物体を拾い集めます。
Rese-R-VED-3:おい、こんな事をしている場合ではないだろう、市民……

 マシンを停車してあたりを改めて見回してみると、壁や天井に赤いペンキで何やら文字が書かれてあります。

Tokyo-R-OSE-3:読んでみよう。

 所有は罪
 目覚めよ、つかみ取れ、労働者
 団結の時はいまだ!


 といった内容です。

Tokyo-R-OSE-3:(困った顔をして)所有は……罪なんだっけ?
Rese-R-VED-3:資本主義とは所有する社会のはずだ。コンピューターも所有を勧めているはず。
STAR-R-INN-3:すなわち、これは反逆?
MO-R-ISE-3:む、茶色い球を捨てます。これは反逆的物質に違いない。
STAR-R-INN-3:危ないところだったな。

 ところで、そろそろ後ろからライバルのマシン達が追いかけてくるのが見えてきましたが?

Tokyo-R-OSE-3:い、いかん。すぐにマシンをスタートさせろ!
MO-R-ISE-3:では、再起動を……おや、1D20で、12以上でメルトダウンをする気がするんですが。
全員:むむむっ……

 また、このセクターにはいかにもみすぼらしいインフラレッドのものらしき掘っ建て小屋が建っているのですが、そこから鎌とハンマーを持った市民たちがゾロゾ ロと出てきます。
 彼らは、天に拳を突き上げて叫んでいる。

コミー:我々は団結し、永久凍土を耕す。しかし、それは支配者を太らすためではなく、人民のため、同志のためだ。革命の火はこの約束の土地シベリアから燃え上 がるだろう。おまえ達の、その火種を消させるわけにはいかない。レーニン万歳、共産主義万歳! さあ、鎌とハンマーを持て。資本主義の犬たちを追い払えっ!
STAR-R-INN-3:むむっ……(秘密であるが彼もコミーである)
Rese-R-VED-3:なんだなんだ?
Tokyo-R-OSE-3:なんか、あの鎌とハンマーには見覚えがあるような……
STAR-R-INN-3:そんなわけないでしょう(彼の装備品にしっかり明記されている)。
Tokyo-R-OSE-3:連中をコミーと認定する。戦闘開始、全員レーザーガンをかまえろ。
MO-R-ISE-3:マシンのエンジンを再起動します!
全員:ええ〜っ?
MO-R-ISE-3:幸福が足りないようですね。みんな、この幸福剤をどうぞ!
全員:(ゴックン)よーし、ここは俺たちに任せて、おまえは先に行け!
MO-R-ISE-3:起動判定……成功!
全員:幸福だぁ〜
STAR-R-INN-3:撃ちますよ〜(のんきな声で)
Rese-R-VED-3:ん、おまえどこを狙っている?

 どうも、STAR-R-INN-3はファイアーボンバー号を狙っているようです(ファイアーボンバー号はRese-R-VED-3の所属する秘密結社のマシ ンである)。

STAR-R-INN-3:いやいや、もちろんコミーを狙っていますよ……ZAPZAPZAP

 判定の結果、見事に命中しましたね。コミーのひとりが蒸発しました。
 すると、その脇にいたヒゲを生やした偉そうなコミーが、鎌とハンマーを振り上げて叫びます。

コミー:貴様、同志を撃つとはいったいどういうことだ。貴様の腰の鎌とハンマーはいったい何の証なんだ?
STAR-R-INN-3:うっ、それは……
Rese-R-VED-3:まったくその通りだね、市民。貴様がコミーだったとはな……ZAPZAPZAP
STAR-R-INN-3:ぎゃあ〜

 STAR-R-INN-3はブーツを残して蒸発しました。次のクローンはコミーではないSTAR-R-INN-4が現れることでしょう。

Rese-R-VED-3:今回は珍しく本物のコミーが出てきたなぁ。
Tokyo-R-OSE-3:コミーなんて初めて見たよ(普段はコミーという濡れ衣を着せられた市民ばかりなのである)。

 そうこうしている間にも、狂乱するコミーたちはザ・キング・オブ・ブラック号に乗り移って操縦者の首を鎌ではねました。
 すると、操縦者を失ったザ・キング・オブ・ブラック号は暴走を始め、目から怪光線を発射して、無差別攻撃を始めます。
 怪光線にふれたコミーは次々と蒸発していき、硬化テクタイトの永久凍土はグツグツと魔女の釜のように煮えたぎっていきます。

STAR-R-INN-4:ま、まずい。脱出だ!
MO-R-ISE-3:みんなを回収しに行きますよ。
Rese-R-VED-3:バカモン。今度、停車したら、次の再始動は1D20で8以上でメルトダウンだぞ。
MO-R-ISE-3:むむむ、それはまずい。
Tokyo-R-OSE-3:俺たちにかまわず、先に行け〜!
Rese-R-VED-3:そうだ、私はこの迫力あるシーンを斬新なアングルで撮影せねば!
全員:素晴らしい!

 では、素早さを基準に戦闘のイニシアチブを決定しましょう。
 ザ・キング・オブ・ブラック号の素早さは36で……トラブルシューターのマシンの素早さは、設定していないからいま決定しないと……(コロコロと適当にダイ スを振る)
 トラブルシューターのマシンの素早さは6ですね。

STAR-R-INN-4:ち、ちょっと低すぎませんか!?
全員:……ZAPZAPZAP
Rese-R-VED-3:UV様にケチをつけるとは……なんという反逆!
STAR-R-INN-5:遅くなりましたぁ〜!(泣笑)

 さて、ザ・キング・オブ・ブラック号の攻撃ですが……ありゃあ、ファンブルだ。
 まあ、ファンブルじゃあしょうがないな。
 ザ・キング・オブ・ブラック号の反逆的で不完全な原子炉が暴走を始めた……

全員:………(言葉を失う)

 ビカァ!

Rese-R-VED-3:すごい迫力だぁあああ!(撮影をしながら、断末魔の絶叫)

 全員クローンナンバーをひとつ増やしておいてください。

Tokyo-R-OSE-4:マ、マシンは!

 跡形もなく蒸発しています。

Rese-R-VED-4:他のマシンは?

 参加した全部のマシンが爆発に巻き込まれ、蒸発しています。
 あたりは超高熱で融解した硬化テクタイトが溶岩のようにドロドロと流れていて、地獄絵図さならがらの光景です。

Tokyo-R-OSE-4:ガルウィングの破片でもいい。マシンの残骸が残っていないか探すんだ!

 そこへ通信が入ります。

Yasu-B-JRO-2:デブリーフィングの時間です。戻ってきなさい。
Tokyo-R-OSE-4:ま、まずい……
Rese-R-VED-4:しかし、戻るしかないだろう……
全員:………(沈痛な面もち)

 市民、不幸そうですね?

全員:そんなことありません。疑いようもなく幸福です!
Tokyo-R-OSE-4:よーし、走って戻るぞ〜!!(やけくそ)


次回「奉仕の終わり」に
つ づ く

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