第 七章・ULTRAVIOLETよりの補足


 えー、いよいよリプレイのほうも大詰めとなり、最終章を残すのみとなりました。
 いま崖っぷちにいるトラブルシューターたちにふさわしく、ミッションの終了のタイミングというものについてお話ししましょう。
 なお、言うまでもありませんが、このページはUVクリアランスに属しています。
 しかも、他の補足に比べても、より高い位置にあるUVクリアランスに属しています。
 もし、あなたがUVではないのなら、悪いことは言いません。すぐに自分を射殺した後、このページを退去してください。


 ……よろしい、では、話を続けましょう。

 通常のTRPGにおいて、ミッションの終了ということは、ミッションの達成と同意語と言えるでしょう。
 ダンジョンの探索の場合は、目的の宝を発見したときや、邪悪なドラゴンを退治したときがミッションの終了です。
 キャラバンの護衛の場合は、目的地へ到着したとき。犯罪捜査ならば犯人を捕らえたときがミッションの終了にあたるでしょう。
 もちろん、ミッションが失敗に終わり、強制的に終了されることもあります。
 とはいえ、このどちらであろうとミッションの終了というものは、基本的にPCの行動の結果であることに違いはありません。

 しかし、パラノイアにおいては違います。

 パラノイアでは、ミッションの完了のタイミングはすべてUVの意志に任されています。
 正確に言うならば、トラブルシューターの行動の結果ということにしても良いですが、多くの場合、UVの意志によってミッションが終了するのです。
 もう少し、わかりやすく説明をしましょう。


 ここを読んでいる市民ならば、トラブルシューターのクローンナンバーが簡単に増えていくことは良く理解できていることでしょう。
 際限のないドタバタと繰り返しギャグにつきあわされるトラブルシューターですが、そのクローンナンバーは無限にはほど遠い数字(具体的には6)までしか増や すことは出来ません。
 最後のクローンが反逆を犯したトラブルシューターを待っているものは永遠の冷たい死です。
 さて、ここでUVは少し困ります。
 テーブルから、愉快なオモチャがひとつ減ってしまいました。
 そこに残ったのは、いくらレーザーガンを突きつけても退屈な顔を続ける市民の抜け殻だけです。
 しかし、この抜け殻は実にやっかいな存在です。時に、それは生き残っているトラブルシューターチームの全体の志気を著しく低下させてしまうこともあります。
 有能で行動力のあるUVならば、退屈そうな顔をしている抜け殻を部屋から立ち退かせようとすることでしょう。素直に言うことを聞かない場合、バケツ一杯の水 を引っかけてやれば、愉快な声を上げながら喜んで立ち去っていくことを、優秀なUVは知っています。なにしろ、そうするようにとルールに明記されているのです から!
 しかし、残念ながら、ここまで優秀なUVというものはあまりいるものではありません。また、多くのUVは自分の部屋を水浸しにすることを嫌うものです。
 では、どうしたら我々は良いのでしょう。

 実に簡単なことです。
 ミッションを終了(つまりはゲームを終了)させてしまえば良いのです。
 通常のRPGでは、なかなかミッションをマスターから終了させることは難しいものですが、疑いようもなく完璧なパライノアでは、そのきっかけはいくらでもあ ります。
 練り歯磨き粉が爆発して、トラブルシューター全員とミッションを達成するのに必要なものすべて(セクター丸ごとなど)を蒸発させてしまうことなど、アルファ コンプレックスでは日常茶飯事なのです。
 当然、ミッションは失敗に終わり、即座にブリーフィングオフィサーから、デブリーフィングの招集がかかり、ゲームは終局に向けてノンストップで進んでいきま す。

 パラノイアでは、このような強制的な終了が、UVにとって必要不可欠なテクニックであることを覚えておくべきです。


 ところで、さきほどのような、クローンが全滅したトラブルシューターが発生した場合以外にも、このテクニックは利用されます。
 再び、話はミッションの終了について戻ります。
 通常のTRPGでは、さほど優秀ではないプレイヤーであってもミッションを達成することはできます。
 しかし、不思議なことにパライノアのトラブルシューターは完璧で優秀な市民なのですが、多くの場合、ミッションを達成することが出来ません。
 原因としては、秘密結社とのしがらみ、トラブルシューター同士の足の引っ張り合い、UVの愛情あふれる妨害、幸福剤の不足といったものが考えられますが、賢 明なUVならば、これらのものがパライノアにおいては空気のような存在であり、ミッションを達成することよりもよほど重要であると判断するでしょう。
 こうして、パライノアではトラブルシューターは、終わりの見えないミッションに悪戦苦闘することになります。
 もちろん、この悪戦苦闘こそがパライノアの本質なのですが、これにはトラブルシューターの高度な集中力を必要とします。
 いくら優秀な彼らでも、長時間、その集中力を維持するのは困難です。
 初めのうち、UVはレーザーガンをトラブルシューターに突きつけることによって、その集中力を高めることが可能でしょう。
 しかし、それにも限度があります。
 やがて、集中力が欠如し始めたトラブルシューターの行き着く先……それは、退屈による死という結末です。

 おおっ、退屈!!

 その存在は、完璧なTRPGであるパラノイアを汚す忌まわしきものです。
 UVは、退屈がテーブルに蔓延する前に迷うことなくミッションを終了させてしまうべきです。
 与えられたすべての権限を駆使してでも!


 理解できましたか?
 退屈になる前に、UVの手によってゲームを終了させる。
 これこそパライノアが、誰がいつどこでプレイをしても楽しいTRPGである大きな理由なのです。
 そして、終了させることはシナリオを維持することよりも簡単です。
「ボゥン! ナニかが爆発したようだ」
 この魔法の言葉を唱えたあと、デブリーフィングを開始すればよいだけなのです。コンピューター万歳!

 では、今回はこれまで。
 市民の幸福を祈ります。
 幸福は義務です。
  


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