1,ひなたのお仕事、ひかげのお仕事
汗をかきつつ、小走りで喫茶店に入ってくるY先輩。
「よっ、悪い悪い」
「先輩、遅いですよぉ〜」
「いやあ、なんかドタバタしちゃってさ。で、どうだった。キャンペーン第二話の感想は?」
「ええ、先輩の言った通りにやったせいか、とってもうまくいきました」
「ほう、そうかそうか」
「とくに、グラスランナーのプレイヤーさんにゲームが終わった後、感想を聞いたら『いろいろできておもしろかった』って言ってくれて、それがうれしかったで
すぅ」
「うむ、ゲーム後にプレイの感想を聞くというのは、とても大切なことだぞ。もっとも、それを実行するには勇気が必要だがな」
「私、初めてのシリアスなシナリオをマスターしたんですが、クライマックスではみんな静かに私の話を聞いてくれて、すごく緊張しちゃいました。
シナリオが終わってからも、みんな次のシナリオの話とか、キャラクターの設定とかでしばらく雑談して、自分のゲームがみんなの話題にされているんだなあって
考えると、すごくうれしかったですぅ」
「そうだなぁ、ゲームが終わってからもマスターが座談会のようなものを企画して感想や意見
交換をしてもらうというのも、良いキャンペーンを続けるには大変有用なものだ。マスタリングだけがマスターの仕事じゃないってところだな」
「ふーん、そんなことまでするんですか」
「俺はゲームが終わったら、たいていプレイヤーと一緒に食事とお酒を楽しみながら雑談をすることにしている」
「そういえば、たいていゲームの後に食事に行ってますね」
「ゲームの終わった後に、その場で聞くよりも、場所を変えて雰囲気も変えたほうが、みんなの舌もよくまわるものだ。それに、ゲームの感想を聞くのもさることな
がら、雑談をしてプレイヤーの趣味や嗜好を把握しておけば、どのようなシナリオがみんなに受けるのかというのもわかってくるだろう?」
「でも、先輩の場合、ただの飲んべえという噂が……」
「まあ、それもあるけどね」
「それに、私まだ未成年ですから」
「そういうときは、喫茶店だって、どこだっていいけどさ。私としては、やっぱりお酒がないと……」
「やっぱただの飲んべえですね」
「ところで、こう言っては何ですが、キャンペーン第二話になっても、あんまりキャンペーンという感じがしないんですが」
「ん、そうか?」
「先輩の言うとおり、キャラクターを把握して、前もってマスタリングの指針を決めておくというテクニックはスムーズにゲームを進めるためには役に立ったんです
けど、もっとキャンペーンならではのゲームというか……」
「つまり、いまのままじゃあ、キャンペーンをやっている甲斐が無いって事だな」
「いえ……そこまでは言ってませんが」
「ふむ、では前回のキャラクターを把握し役割分担をするというテクニックの応用なんだが……次
回のシナリオでは、キャラクターのひとりを主役に選んでプレイしてみたらどうだろう?」
「主役って、どういうことですか?」
「本来、RPGというのは芝居や何かと違って誰でも平等な立場で参加するものだ。プレイヤーである限り、この人は主役で、この人は脇役といった区別はない。だ
が、現実にはプレイヤーやキャラクターの個性によってゲームへの接し方が異なるので、ゲームの主役として活躍する人もいれば、脇を固める役割をする人がいるっ
てのはわかるだろ?」
「ファイターとして先頭で戦う人や、いかにも勇者様みたいなキャラクターは主役って感じですね」
「そうそう、一方、シーフやクレリックは地味な行動が多くて、どちらかといえば脇役といった感じがするだろう?」
「はい、そうですねぇ」
「もっとも、この違いは単純にキャラクターの職業によって左右されるわけではない。シーフだからといって脇役ばかりだとは限らないし、ファイターが地味な脇役
となることだって十分に有り得る。つまり、これはキャラクターよりもプレイヤーの個性による部分が大きいと言うわけだ」
「Y先輩は、どんな職業をやっててもハッスルしまくって、主役をやりたがりますものね」
「む……オホン。それはともかく、最近のゲームでは職業という概念が薄くなっているのもひとつの大きな要因だ」
「そうですねぇ、最近のゲームはどんな職業でもたいていのことはできるようなものが多くなってますものね」
「うむ、D&Dのように職業イコール個性という考え方は、すでに古いのかもしれない」
「ソードワールドは職業ではなく、スキルを選択するゲームだから、ますますそういった感じになりますね」
「そのとおりだ」
「ん……ということは、どうやって主役を選ぶんですか? D&Dなら、ファイターの人を選べば主役だとおもいますが」
「ばかもん、早とちりするな。まだ話はこれからだ!」
「ひぃ〜ん、すみませーん」
「さて、さきほど話したような理由から、特に決められたわけではないのにテーブル全体の意識が、ファイター系のキャラクターには主役のような行動を期待し、
シーフのようなキャラクターには脇を固める縁の下の力持ち的な行動を期待するようになることがある」
「あ、そういうことって時々ありますよね。『ファイターなんだから、ここは格好良く決めてもらおう』とか言って、まわりが主役を押し付けたりして。まあ、半分
は冗談なんですけど」
「ファイターをやるような人は積極的に活躍したいというタイプが多いから、それはそれで間違いじゃないとは思う……だけどね!」
「だけど?」
「それだと、他の職業のキャラクターが活躍しづらくなってしまうとは思わないか?」
「なるほど、そうかもしれませんね」
「それはつまり、プレイヤー自身もゲームを楽しめないことにつながるのでは……」
「ちょ、ちょっとまってくださいよぉ。そういう職業を選んだ人は、そういうのが好きで選んだんですから、ゲームを楽しめないというのは言い過ぎなのでは?」
「うむ、それも一理ある」
「でしょぉ?」
「さゆりちゃんの言うとおり、プレイヤーの中にはゲームを主役としてではなく、脇で見ているほうが性に合っているという人がいるのは紛れもない事実だ。さゆり
ちゃんのキャンペーンで言うと、推理好きの魔法使いや、グラスランナーをやっているプレイヤーはそんな傾向が強いと思われる」
「そうですねえ、特にグラスランナーのプレイヤーの人が積極的にシナリオに参加しているのはあまり見た事がありませんから」
「だーけーどぉ、世の中、そういう人ばかりだとは限らない」
「はあ……?」
「シナリオの主役になってみたい気持ちもあるれけれど、まわりを見てちょっと遠慮してしまうシャイなプレイヤーや、潜在的に主役をはれる技量をもっているのに
気付かないで脇役を演じるのに満足しているプレイヤーもいるってことさ」
「そういえば……わたしも、ゲームを始めたばかりの頃は、まわりの先輩達に遠慮してサポート系のキャラクターばかりやっていたような」
「うむ、さゆりちゃんのようにゲーム経験の差から気後れしてしまい、脇役に甘んじるという場合もある。これは大きな問題だとは思わないかね」
「つまり、そういった人も主役をやれるよう、マスターからサポートするってことで
すか」
「飲み込みがいいじゃないか」
「ん……でもぉ〜」
「なんだよ変な顔して」
「そういう人を主役に選んでも、その人にとっては負担となるだけって事はありませんかね。例えば、ゲームを始めた頃の私がマスターから主役をするようにサポー
トされても、ゲームの経験はともかく、まわりの人に遠慮してしまうことには変りないと思うんですが。それって、マスターがあれこれいうよりもプレイヤー自身の問題って気がするような……」
「なかなか言うようになってきたな」
「すみません……」
「ちがうちがう、俺は誉めてるんだよ。たしかに、さゆりちゃんの言うとおりなんだ」
「あれ、そうなんですか?」
「プレイヤーの中には本心から主役ではなく、脇役をやっているほうが好きという人がいる。これは忘れていけない事実だ。そういう人は、ゲームに積極的に参加す
るのではなく、傍観者としてみている方が気楽で楽しいというんだよな」
「なんかもったいないような気がしますが、言われてみるとそういう人っていますよね」
「無理に主役をやらせて、ゲーム自体を苦痛に感じられてしまっては元も子もない。以前、俺もゲームに積極的でないプレイヤーを引き込む為に、その人にどんどん
話をふったりしたものだが、その後で『自分は脇役が好きなんだから、ほっておいてくれるとありがたいんだけど』と、すまなそうに頼まれたことがあってね……」
「へえ、そんな人がいたんですか?」
「で、それ以来、誰でも主役をやりたいわけではないという事を知ったのさ。そういう人にも積極的なプレイの楽しさを教える事ができれば最高なんだが、まあここ
ではさゆりちゃんにそこまでは求めないよ。これは非常に難題だからね」
「そうですねぇ、まだ私には人のプレイスタイルを変えるほどのマスタリングは無理そうですから」
「マスタリングのテクニックうんぬんというより、なによりこれはプレイヤーの意識の変化を待たねばならない問題だから、あんまりまわりからヤイヤイ言ったとこ
ろで逆効果となってしまうだろう」
「無理強いはいけませんものね」
「そうだな……さて、話が大きくそれてしまったが、これまで説明したような主役を本気で嫌うタイプのプレイヤーがいるが、そうでない人もいる、そして、これか
らの話はその後者の人を対象とした話というのを念頭において聞くように」
「はーい」
2,シナリオのスポットライトは誰の頭上に?
「それで最初の話を繰り返すようだが、キャラクターのひとりを主役に選ぶとは、どういうことかというと……さゆりちゃんは戦隊モノとかを見るかい」
「はぁ、戦隊モノというとゴレンジャーとかデンジマンとかのことですか?」
「間違いじゃないけど、なんか古いなァ」
「最近はあまり見ないものでして」
「って、昔は見てたのかい……まあ、いいや。そういう戦隊モノで主役といえば、だいたいリーダーである『レッド』というのが定番だろう」
「そうですね。イエローが主役というのはちょっと……」
「けれど、毎回、毎回、レッドが主役と言うわけではないだろ。本筋とは離れたサイドストーリー的なもので、ブルーとゲストヒロインとのロマンスとか、イエロー
の人情話とか、グリーンの因縁の敵との一騎打ちとか……そんな普段は脇役であるはずの彼らが、その回だけは主役となる話ってのがあるはずだ」
「はい、ありますねぇ。でも、けっこう、そういう話のほうが本筋よりもおもしろかったりして私は好きです。ルパン三世で、時々、次元が主役の話があるんですけ
ど、もうしびれるぐらいカッコいいんですよね〜」
「普段は脇役のキャラクターが、たまに見せる意外な一面というやつだな。ところで、これは連作ドラマだからこそできる演出だ。一回限りで完結してしまう映画や
オリジナルビデオ作品などで、主役をはるべき『レッド』的なキャラクターが脇役で、『イエロー』のようなキャラクターが主役だったりしたら、こちらが戸惑って
しまうだろ?」
「そりゃあ、そうですよ」
「では、ここで、いまの話をRPGに置き換えてみよう」
「えっとぉ……つまり、単発ゲームならばいわゆる『レッド』的なキャラクターが主役をやるというゲームになるのが自然ですが、これがキャンペーンなら他の脇役
のキャラクターも主役ができるということですね」
「主役ができるというのは語弊があるな。別に、脇役をやっているプレイヤーだって、嫌で脇役をやっているわけじゃないんだから。それはさっきさゆりちゃん自身
が言った事だろ?」
「ああっ、そうでした」
「まあでも言いたい事はわかる。ただ、普段は地味なキャラクターにマスター側から意識して
スポットライトをあてて、積極的に行動してもらおうと言ったほうがより正しい言い方かな」
「なるほど。それだったら、消極的な人をゲームに引き込めるし、内心では主役をやりたいと思っていた人も気兼ね無くプレイできますね」
「もちろん、さっき言ったように、そういったプレイが苦痛と感じるような人を無理に主役にしてはいけないというのも忘れるな」
「はい、注意します」
「あと、良いプレイヤーならば、これはキャンペーンなんだから戦隊モノのサイドストーリーのように、今回は誰某に華を持たせようと気を利かせてくれることもあ
る。これが単発ゲームだと、そういう配慮はされづらくなる。こういった考え方も、何度も同じプレイヤーと顔を合わせるキャンペーンだからこそだろうな」
「うーん、そこまで気をつかってくれるプレイヤーさんって少なそうですけど」
「まあ、確かにそのとおりだ。それに、プレイヤーが今日の主役は誰某なんだなとピンと気付いてくれなければおしまいだしな」
「やっぱり、それってむずかしぃですよぉ〜」
「だったら、最初にマスターが宣言してしまえば良いんだよ」
「宣言って?」
「だから、『今日のシナリオは彼が主役なので、よろしく』と、はっきりいってしまうんだ」
「ええっ〜、そんなのアリなんですか?」
「アリアリ、何度かやっているキャンペーンだったら問題ないよ。今回だけでゲームが終わりってわけじゃないんだから、不公平だと思う人は、次回、主役を希望す
れば良いんだしね。マスターとしても、そんなやる気のある人は歓迎のはずだ」
「それはそうですねぇ」
「それに俺なんて、『今日のシナリオで主役をやりたい人はいる〜?』とか『ヒロインとラヴラヴになりたい人はいるかい?』って、はっきり聞くときだってあるぐ
らいだ。もし、希望者がいなかったらこちらが勝手に選んでしまう」
「何とも、むちゃくちゃな」
「もちろん、単発ゲームではあまりそういうことはしない。プレイヤーやキャラクターの性質をつかんでいないと危険だからな。でも、さゆりちゃんのキャンペーン
なら、もうこういうことをやってもいい時期なんじゃないかな。戦闘好きで無愛想な聖堂戦士あたりをヒロインにからめてみたりしたらおもしろいかもよ?」
3,マンネリ打破のためにそのいち
「では、このように主役をマスター側から選ぶことによって、さっき言ったこと以外にどんなメリットがあると思う?」
「ええっとぉ〜、主役となった人がいつもと違ったゲームを楽しめることで
しょうか?」
「うーん、それでは50点しか点数はあげられないなぁ」
「ええ〜、じゃあ残りの50点はなんですか?」
「例を挙げて順番に説明するぞ。同じキャラクターでキャンペーンを長くやっていると、自然と各々の役割というものが決まってくるものだ。いつも依頼を受ける
キャラクター、聞き込みをするキャラクター、女性NPCにちょっかいを出すキャラクター、率先して戦闘をするキャラクター、説得をするキャラクター……などな
ど、どうだい、さゆりちゃんにも身に覚えがあるだろう?」
「私は依頼を受けるのって好きだし、Y先輩は女性NPCにちょっかいを出すのがだーい好きですよね」
「うるさいわい。ともかく、それがあまりくりかえされると、やがてゲームがマンネリ化してくる。ここは自分の出番だな、ここはあの人の出番だなといった具合
に、馴れでゲームをするようになってしまうわけだ」
「そうなんですか? 私は意識したことはないですけど」
「同じキャラクターでD&Dのキャンペーンを200回以上マスターした俺が言うんだから、これだけは間違いないぞ。当時は、マンネリの境地までマンネリしつく
したもんだ。水戸黄門も真っ青ってところかな」
「マンネリしつくすって……なら、そんなに長くやらなければいいのに」
「いやいや、別にマンネリが絶対に悪いと言ってるわけじゃない。毎回、自分の役割を確実にこなし、シナリオをクリアーしていくというのも、それはそれで安心感
があってそれなりにおもしろいもんだ。逆に、たまにキャラクターを変えると、なんか雰囲気が違ってギクシャクしたゲームになってしまうんだよなぁ、これ
が……」
「はぁ、そうなんですか」
「でも、だからといってマンネリを続けるというのも、あまりに進歩がないからよろしくない」
「ええ、私も出来るだけいろいろなことがやりたいと思ってます」
「そうそう、どんなことでもチャレンジャー精神は常に必要だ。そこで、さっきさゆりちゃんの言った、いつもとは違ったゲームを楽しむ事が出来るというメリット
の話になる」
「はい」
「で、残り50点はどういうメリットかというと……」
「というと……?」
「他の人もいつもとは違ったゲームを楽しむ事が出来るという事だ」
「ええ〜っ、そんなのまるで引っ掛け問題みたいですぅ」
「だが、これは重要なメリットだぞ。いつもとは違った役割分担をすることによって、いままで楽な形でゲームをしていたプレイヤーも思わぬプレイを必要とされる
ことになる。これはマンネリ化したキャンペーンにとっては良い刺激となるだろうし、新鮮な経験となる事だろう」
「なるほど」
「それに馴れない役割でのプレイをすることによって、プレイヤー自身も新しいプレイスタイルに目覚めることだってある。俺の友人に、それまでは真面目一直線
だったプレイヤーがいたんだが、マスターの作戦でキャンペーンのヒロインと結婚することとなった」
「ふーん、でもよくあることですよね」
「ところが、以後、そのプレイヤーはロマンスの楽しさに目覚めてしまい、ヒロインキラーと異名をとるまでになってしまったという実例がある。他にも、これまで
ちゃらんぽらんなキャラばかりだったプレイヤーが、たまたま戦闘ルールの細かいゲームのファイターをやったら、急に緻密な戦闘の楽しさに目覚めるとか、出来の
良いミステリーシナリオをプレイして調査や推理が病みつきになってしまうことだってあるだろう」
「そんなにコロコロと変わるものなんですか?」
「うーん、俺のまわりだけかもしれないけど、RPGのプレイスタイルの嗜好というのは意外と変わりやすいもので、『最近、こんなプレイスタイルに凝ってるん
だ』なんて会話をするぐらいだ。ちなみに、最近、俺はギャングやチンピラみたいな乱暴者で戦闘好きなプレイスタイルに凝ってるが、前は知的な調査と推理が得意
なインテリが好きだったし、その前は女たらしの伊達男ばっかりやっていたような……」
「それはそれで、統一性がなさすぎのような気もしますが……」
「まあ、特定のプレイスタイルにこだわらず、常に自分からいろいろなタイプに挑戦しようというチャレンジャー精神旺盛なプレイヤーもいることだし、そういう人
にはこういった気遣いは無用なのかもしれないね」
「ふーん、そういう人もいるんですか」
「もっとも、さゆりちゃんのキャンペーンのメンバーは、自分のプレイスタイルに固まっている連中が多いから、これまで話したようなアプローチは有用だと思う
よ」
「はーい」
「……ん、あれぇぇぇぇっ、もうこんな時間だぁ!?」
「ど、どうしたんです?」
「いや、今日はちょっと用事があってね。早く行かないと……」
「ええ〜っ、まだシナリオのアドバイスを聞いてないですよぉ」
「何を言っている。そのシナリオは、他人が呼んでもプレイできるように書かれているんだ。俺のアドバイスなしではプレイできないなどと、甘いことばかり言って
るんじゃあない」
「そりゃあ、先輩は書いた本人だから、読んだだけでプレイできると思っているでしょうけど〜……本当に、読んだだけでプレイできるシナリオなんですかぁ?」
「ぐぬっ、痛いところを突きおって。
あのだなぁ……あっ、マジで時間がない。
とにかく、大丈夫だって。よくシナリオを読んで、今までのアドバイスを思い出せ。わかったな……」
「あぁ、ほんとに行っちゃった。も〜、先輩ったら〜
でも、いつまでも先輩に頼ってばかりじゃあいけないし……よ〜し、がんばって、まずはシナリオを読もうっと!」
店員の目を気にもせず、席を立ったまま、めらめらと燃え盛るさゆりちゃんであった。
※)さあ、さゆりちゃんと一緒にシナリオを読もう!(シナリオ「導かれて」へ)
4,ひとりでできるもん
シナリオを読み終えたさゆりちゃん。
「なっ、なんだか。難しそうなシナリオですぅ〜
えーと、まずメモを作って、そのメモを渡す人を決める……これは、前回のアドバイスにあったキャラクターの個性に合わせたシナリオ展開の応用ですね〜
うんうん、ちょっと見ると難しそうなこのシナリオも、前もってどんなキャラクターがいるのかわかっているキャンペーンなら、うまくできそうですぅ。
よ〜し。アドバイス抜きでも、しっかりマスターできることを見せて、先輩を見返してあげましょ〜っ!」